禁酒2

少量の飲酒なら本当に健康によいのか?!飲酒量はどの程度であれば健康に有益なのか?!その2

こんにちは。
『お酒を減らす』を新年の目標に掲げる方も多いのではないかと思います。
今回は少し変わった視点からお酒を減らす方法を論じてみます。


環境改善で飲酒量は減らせる!
(原因はあなた自身ではなく、周りの環境??)

① 長時間労働を減らして、飲酒量を減らす!
長時間労働はあなたに、過度な飲酒をさせてしまうリスクがあります。
フィンランド労働衛生研究所によれば、労働時間が標準勧告を超えて長くなると、アルコール飲用量が健康リスクを引き起こすレベルにまで増加する可能性が高くなると考えられます。
該当の研究は、労働時間と飲酒量との関係を調べ、まとめたものです。研究結果を分析すると、長時間労働者の抱える「健康に悪影響を及ぼすほどのアルコール量を摂取してしまうリス」は、非長時間労働者と比較し、1.1-1.2倍であることが明らかになりました。
労働時間は国や地域によって環境が異なりますので、一概にどのぐらいであるとは言いにくいのですが、お酒の量が増えた時は、長時間労働などの労働環境を見直すことにより、お酒の量を減らせる可能性がある、と知っておくと良いでしょう。

② アルコールを入手できないようにすれば酒量が減る?
過度のアルコール飲酒の要因の1つに、「アルコールの入手のし易さ」があります。
米国で行われた、法的なアルコール販売規制のない郡と厳しく販売が規制されている郡における飲酒と心疾患との関連を調べた研究があります。
この研究は、テキサス州の病院をベースに、Texas Inpatient Research Data Fileを用いて、2005~10年の間に入院した21歳以上の患者110万6,968例について、調査が行われたものです。
アルコール販売規制のない郡の住民は、規制のある郡の住民と比較すると、アルコール乱用、アルコール性肝疾患、さらには心房細動という不整脈がより多くみられることがわかりました。
また、アルコールに対する規制ありから規制なしに変わった郡では、アルコール乱用、アルコール性肝疾患、心房細動、うっ血性心不全の発生リスクがおおよそ30-60%ほど上昇しています。
人間とは残念ながら意志の弱い動物で、容易にアルコールを買える環境下では、ついついお酒を多く買いすぎてしまい、その結果アルコールの過剰摂取、更には肝臓や心疾患を起こしてしまうことがよくあります。
お酒を控えたいと思ったときは、まずは周りに酒屋などがない環境に引っ越すのも、方法の一つかもしれません。

いかがでしょうか?
お酒を減らすためのに、一見関係ないことですが、つながっています。環境を意識して頑張ってみてください。

まとめ
少量の飲酒でも、大腸癌などの疾患のリスクが上昇することは確実に証明されています。しかし、アルコールと全死亡リスクの間にはJカーブが存在する可能性もあります。
以上より、飲酒する場合は休肝日をつくり、多くても週に1~3杯とし、決して飲みすぎないことが重要であると言えます。
一般的に、自分を変えたければ「決意」より「時間配分」「住む場所」「付き合う人」を変える必要があると言われています。飲酒量を減らしたい場合も同様です。自分の周囲の環境を変え、時間配分を考えて、お酒が手に入りにくい環境を作ってみてはいかがでしょうか。


◆プロフィール情報
埼玉医科大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了。腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、抗加齢医学専門医や腎臓内科専門医等の資格を取得。関東圏で医師として6年間の実務を行い、この間に予防医学やアンチエイジングの重要性を実感。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院 (Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。IT系ベンチャー企業の嘱託産業医としても勤務中。
理念は「日常生活を改善することで、身体だけでなく心も健康に」。腎臓病学/予防医学/抗加齢学医学/産業医学を専門として活動をしている。
◆資格
腎臓内科専門医、抗加齢医学専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医、
公衆衛生学修士(Master of Public Health: MPH)
◆HP
https://activehealthlab.tokyo/

*本ブログにおける発言は個人的なものであり、所属組織を代表するものではありません。

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