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肥満による健康障害

こんにちは。
今日は肥満についてまとめてみました!

 肥満による健康障害と効果的なダイエット方法!!

肥満が、美容上の問題を起こすだけでなく、様々な健康障害、寿命短縮にも関係していることは、皆さんもすでに御存知かもしれません。では肥満は具体的に、どのような病気を招くのでしょう? 今回は、肥満が原因で起こりうる病気について、ご紹介していきます。

世界保健機関(WHO)は、国際的な基準として、BMI(体重(kg)/((身長(m))2)25以上を「過体重」、30以上を「肥満」と定めています。ただし、日本人の場合、BMIが25を超えると2型糖尿病や循環器疾患のリスクが高くなり、内臓脂肪が増えていく傾向がみられるので、日本肥満学会は日本人の肥満を「BMI25以上」としています。
厚生労働省の調査によると、日本における肥満は特に40歳以上に多く、この20年間で増え続けています。20~60歳代の男性の28.7%、女性の21.3%が肥満です。
肥満は各種生活習慣病や、狭心症・脳卒中の発症、様々な癌の発症とも関係していると言われています。同時に覚えておきたいのは、少しの減量を行うだけで、これらの疾患にかかるリスクを減少させることができる、ということです。
ここでは、肥満による健康リスクと過去の研究に元づいた減量方法を、研究の内容の一部とともに紹介します。

*メタ分析とは過去の複数の研究の結果を統合する統計解析のことです。根拠に基づく医療において、最も質の高い根拠の1つとされています。

肥満によって引きこされる可能性がある主な疾患
1. 生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病)
2. 狭心症/心筋梗塞、脳卒中
3. 睡眠時無呼吸症候群
4. 癌、悪性腫瘍
5. 性機能の低下

 生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病)
肥満の人はそうでない人に比べて糖尿病で約16倍、高血圧症で約3.5倍、心疾患で約2倍も、生活習慣病にかかりやすいというデータがあるようです。
肥満・糖尿病、高脂血症、高血圧の合併は「死の四重奏」と呼ばれています。


 狭心症/心筋梗塞、脳卒中
肥満により上記のような生活習慣病に至った結果、動脈硬化が進行し心筋梗塞や脳卒中を発症してしまいます。


 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群には気道(空気の通り道)が閉塞する「閉塞性」と、呼吸そのものが起きなくなる「中枢性」とがありますが、ほとんどが「閉塞性」によるものです。この病気は中高年の男性、それも肥満体型の方に多いといわれています。肥満によって舌が分厚くなることで、空気の通り道を邪魔し、寝ている間に気道が閉塞(もしくは部分閉塞)するために起こります。


 癌の発症、増悪に関係
肥満には、消化器系や女性のホルモン関連悪性腫瘍などのがん種の発生、およびがん死との強い関連性があると、過去の論文を集めたメタ解析で明らかになっています。
肥満の評価は以下の7つの指標で行いました。(BMI、ウエスト周囲長、ヒップ周囲長、ウエスト-ヒップ比、体重、体重増加、肥満手術による体重減少)
具体的に肥満と関連しているがん種は、食道がん、胃がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系のがん、膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がん、子宮内膜がん、卵巣がんです。


 性機能の低下
肥満男性では精液の量が少なく、精子の数や濃度、運動率なども低いことが、インドの男性約1,300人を対象とした後ろ向きコホート研究で明らかになりました。肥満(BMI 30以上)男性では、肥満ではない男性と比べて、精液の量のほか、精子の数、濃度、運動率などが低いことが分かっています。

 疾患のみならず寿命への影響
米国のハーバード公衆衛生大学院と、英国のケンブリッジ大学が中心となった研究チームによる研究では、重度の肥満では寿命が約10年短くなるおそれがあることが分かりました。1970~2015年に行われた239件の大規模疫学調査から、32ヵ国・1,060万人のデータを解析した結果です。研究チームは、別の疾患による死亡リスクを取り除くために、喫煙経験者、調査開始時に慢性疾患のある人、調査開始から5年以内に死亡した人のデータを除き、最終的に残ったアジア、欧州、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの395万1,455人のデータを詳しく調査しました。13.7年間追跡して調査した結果、「重度の肥満の人では寿命が約10年短くなり、2人に1人は70歳より前に死亡するおそれがある」ことが判明しています。
またBMI25以上の人では、BMIが5上昇するごとに、死亡リスクが31%上昇することが分かっています。更に疾患別にみると、BMIが5上昇するごとに、心血管系疾患の死亡リスクは49%、呼吸器疾患の死亡リスクは38%、がんの死亡リスクは19%、それぞれ上昇しました。


次回は、効果的なダイエット方法について書きます。

◆プロフィール情報
埼玉医科大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了し、腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、腎臓内科専門医や抗加齢医学専門医等の資格を取得。
予防医学やアンチエイジングの重要性を感じ、2016年より帝京大学公衆衛生大学院に入学し様々な研究に従事した。
2018年秋からハーバード大学公衆衛生大学院 (Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学中である。
◆資格
腎臓内科専門医、抗加齢医学専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医、
公衆衛生学修士(Master of Public Health: MPH)
◆HP
https://activehealthlab.tokyo/

*本ブログにおける発言は個人的なものであり、所属組織を代表するものではありません。

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