■注意/ネタバレあり■異世界は異世界だが。
☆前回に続いて、同人誌「満月の夜、酔っぱらい娘がひろった黒猫は異世界の呪術師でした」についてですが、今回はがっつりネタバレがあります。
まだ読み終わっていない方はここで閉じてくださいね!
さて。
今回の新刊情報は「異世界ファンタスティック冒険譚」となっています。
なぜ「異世界ファンタジー小説」としなかったのか。
だってこの小説・・・異世界は異世界でも、後半がっつりSFなんですよ、ふはははは。
20年前のおぼろな記憶によると、プロット段階では、ちゃんと、異世界ファンタジーを書くつもりだったんですよ。
実際、原稿の途中まではファンタジーです。
冬眠から目覚めなくなった異世界イステリオンの人たち。
原因はわからない。
このままではいずれイステリオン人は絶滅してしまう。
原因をつきとめ、イステリオンを救うのが主人公である如月夏子に課せられたミッションです。
王道ファンタジー展開といえましょう。
ところが半分をすぎて、たぶん、大雪原の果てにある森にたどりついた頃でしょうか。
・・なんでこの人たち、冬眠から目覚めないのかな。
そもそも、なんで冬眠するんだろう。
Rupoのキーボードをたたきながら、私は首をかしげました。
そう、私のざっくりしたプロットには、そのあたりのかんじんな設定が何一つ書かれていなかったのです(おいおい)。
私は布団の上でごろんごろんしながら考えました。
冬眠から目覚めないのは・・
たぶん目覚めを妨害するねむねむビームだかねむねむ粒子だかが、どこかかから放出されてる・・・とか?
どこがいいかな。
・・そういえば、イステリオンには月が2つあるって、何となく書いちゃったけど・・・月だよ、月。
うん、月にしよう。
月に基地がある、いやいっそのこと、片方の月が人工天体でいいんじゃないかな!
ファンタジーだったはずのこの小説が、SFにすりかわった瞬間でした。
月へ飛べるのはやっぱり呪術師だよね、異世界と日本を行き来することにくらべれば、月くらいたいしたことないはずだし。
そもそも人工天体を建設したのは何のため?
月へ行った呪術師って過去ににもいたのかな?
そうだ、傾国の黒髪美女と、創世樹の神話が伏線だったことにしちゃえば?
あと、神官にもひと働きしてもらおう。
書き進めているうちに次々にピースがはまっていきます。
それぞれはファンタジー要素なのですが、すべて科学的に解明されていき、無事に予定していたラストシーンへと着地したのでした。
めでたし、めでたし。
さて20年近くの歳月が流れ(詳しくは前回の記事を参照してください)、自分が何を書いたのか、ほとんど忘れてしまいました。
覚えていたのは、「たしか片方の月が人工天体で、後半、SFになったような・・?」といった程度です。
というわけで、誤字脱字を直しながら読み返して驚いたのなんのって。
そうか、こうきたか、の連続です。
かつて黒髪の美女が国を大混乱に陥れたことがあり、なんて、本当になんとなく書いたのに、後半、最重要人物になってますよ(苦笑)。
ちなみに今回はまったく時間がなかったので、誤字脱字修正と、多すぎる「彼」「彼女」をキャラクターの名前に置き換えるくらいしか修正はできませんでした。
設定やエピソードは一切直していません。
もし一から書き直すとしたら、東京パートはざっくり削って、異世界パートを膨らませた方が面白くなったかもなぁ、なんて思います。
しかし今さらですが、これ、100%のファンタジー小説にするつもりだったら、冬眠から覚めない原因は黒魔法なり呪術なりにすべきでしたね。
なんだって覚醒を抑制する粒子を人工天体から散布していることにしてしまったんだか。
たぶん私の半分はファンタジーでできていて、残り半分はSFでできてるんだろうなぁ、なんて、20年ぶりに悟った夜でありました。
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