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おばあちゃんのおひざもと 香語

宝昌院心鏡慈照禅尼 様

百歳のお誕生日祝いに、おばあちゃんから聞いたお話集、『おばあちゃんのおひざもと』を献本させて頂いてから3ヶ月。7月18日の朝、静かに眠るように逝ったおばあちゃん。

葬儀の際に、老師より賜った立派な香語に私は深く感銘を受け、改めておばあちゃんの一生に畏敬の念と深い敬意を新たにしました。

後日、老師のお宅へお礼に伺っったところ、ご厚意により老師直筆の香語を頂戴することができました。びっくりしたよ。葬儀の前の晩に、寝ずに朝までかかってしたためられたと仰っていましたよ。

また、おばあちゃんの遺影を見て、「まろやかな、とてもいいお顔だ』と感心して下さいました。

この実に立派な香語を捧げることが、おばあちゃんの生きた一生への最上のたむけ(手向け)であるという想いから、新たにこの章を付け加え、本著を完結することとします。おばあちゃん、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

香語

十万薄伽梵一路涅槃門、浄ララ、赤灑々露堂々。               朝から晩まで晩から朝まで、寝たり起きたり転んだり、泣いたり笑ったり、   行ったり来たり、食べたり垂れたり、生まれたり死んだり           一年三百六十五日、百年三万六千五百日、反復す元来これ此の漢

恭しく重んずれば、新円寂「宝昌院心鏡慈照禅尼」霊位            縁に任せ縁に遵って自由無礙、常にその時その時、その場その場のあるべきように、一意専心精進努力。ひたすら宝昌院寺族として住職を補佐しつつ、寺門の大黒柱となりその本分を尽くし給う。

正に寺庭婦人の模範、大和撫子の鏡なるべし。                一度四体不調、体調不良となるや、心中に一点の不安もなく、更に後顧の憂いなどさらさら無く、戦前戦中戦後の激動時代、大正昭和平成の三世代に亘っての悪戦苦闘。奮闘努力の跡形もなく、茲齢満百歳の天寿を全うし、眠るが如く大往生せられたり

堂々たるかな、その人生航路                        威風凛々たるかなその大生涯                        恰も、風柳絮を吹けば手毬走り、雨梨花を打てば胡蝶の飛び去るが如き趣きあり

見事に光り輝く慈照禅尼、大正三年四月五日に誕生なさって以来、100年間のその生き様は、まさに百点満点。覚えず、拍手喝采を禁じ得ない快挙に非ずしてなんぞや。さもあらばあれ、上来は是れ生前日常底の活三昧なり

即今只今、生死巌頭一歩を進めて空裏に運歩し解脱自在            涅槃寂静の境涯又什磨生

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隠されたメッセージ。いろはかるたの小説版。最初から最後の章まで、各章の頭文字を書き出していくと、最後にこの本の核心が明らかになります。かるた同様、お遊び感覚でも楽しめる本です。

大正3年、1914年にアメリカに生を受け、22歳までに3度も船で太平洋を横断し日本とアメリカを行き来したおばあちゃん。ロサンゼルスの大都会…

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