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セナのCA見聞録 Vol.25 機内でHappy New Year

大晦日にソウルへ飛びました。

いつもなら到着後は少人数のグループで、別々に夕食をとりに出かけることが多いのですが、この日は大晦日ということでスペシャル。ステイ先ホテルの和食店で一緒に乗務したほとんどのCAが集まり、一年の労をねぎらいあいました。

「お疲れ様~。かんぱーい!」🥂

元気一杯に乾杯をすると、それだけで一気に疲れが吹き飛ぶ感じがしました。外資系の会社のいいところは、こういう席でも皆が横に同等な関係なので、堅苦しく先輩後輩と気をつかう必要がないところ。

「――さんってほんとにアナウンス上手ですよね。」とか、

「――ちゃんのギャレーっていつも片付けが早いよね~。」

「来月のライン何?どこ飛ぶの?」

と結構気さくに誰とでも話ができるのが心地いい。

CAの仕事は月単位でスケジュールが組まれるので、一年も365日というよりは12ヶ月というスパンで、あっという間に過ぎていく気がします。

季節も暖かい所、寒い所、時間帯も昼間から夜、夜から昼間とフライト毎に変わったりするので、よけいに時間の経過が目まぐるしいような気がします。

こうやって異国の地で同僚の日本人同士が集まって笑顔で年越しをするのも、後々になっていい思い出になることだろう思いました。

食事の後は同期の子と一緒にホテルの部屋のテレビでNHKの紅白歌合戦を流しながら年明けを迎えました。どこにいようと、年越しのカウントダウンをしないわけにはいきません。私たちは食後に、ホテル内のパン屋さんで大きなショートケーキを買いました。(女子らしい!)そして新年と同時にナイフを入れて新しいし年の到来を祝い、その後パクパクとケーキを食べながら迎えたゆく年くる年でした。

翌朝1月1日の成田便はガラガラに空いていました。

ファースト、ビジネス、エコノミーの3クラス全体で20名を切る乗客数で、食事のサービスはあっという間に終わってしまいました。

ミールサービス終了後、あるCAの提案で通常はファーストクラスとビジネスクラスに限られているシャンパンを、今日は特別にエコノミークラスのお客様にもふるまって、機内全体で新年をお祝いしましょうよ、ということになりました。

確かに、シャンパンはファーストクラスとビジネスクラスでそれぞれボトルを開けたものの、一人二人のお客様にグラス一杯ついだだけ。残りを流し台にドボドボと捨ててしまうくらいなら、他のお客様と分け合うのはいいことだ、と皆この提案に賛成!

早速準備に取り掛かりました。
シャンパンと、ミモザ(シャンパンをオレンジジュースで割ったカクテル)の二種類に加え、アルコールの苦手なお客様用にお水とオレンジジュースをビジネスクラスのギャレーで用意していると、チーフパーサーが機内アナウンスを流し始めました。

「ご案内申し上げます。これより客室乗務員がシャンパンをもって通路を伺います。よろしければ、お一つお取りくださいませ。その後、機内アナウンスに合わせまして、新年のお祝いを皆さんとご一緒に乾杯申し上げたいと思います。どうぞ是非ご一緒に参加なさって下さい。」

すると、ガランと静まり返って簡素な雰囲気だった機内が瞬間明るみました。

一通り、乗客にグラスを配り終えたところでチーフパーサーに合図が入ると、

"We would like to take this opportunity to wish all of you a very happy and prosperous new year" 

といった新年の祝賀と、お客様の幸福と繁栄をお祈りするメッセージが流れました。

そして最後に「Happy New Year, everyone!」と乾杯の音頭が取られると、機内に「明けましておめでとうございます。」という新年のあいさつがこだましました。

見ず知らずのお客様同士、CAとお客様、そしてCA同士でにこやかに迎えた新年でした。(念のために私達クルーはお水かオレンジジュースで乾杯したことを申し沿えておきます。)

ちょうど素晴らしいタイミングで、この時飛行機は富士山を左に望む上空を飛行中。この便に搭乗していた全員が元旦の澄んだ青空のもと、くっきりと聳え立つ円錐の富士山の景観にしばし見惚れながら成田へ向かいました。🗻

成田空港に到着後、乗務員を乗せる迎えのバスが到着するまでいくらか待ち時間がありました。

「元旦早々に仕事したっていう記念写真を撮ろうよ。」と誘われ、タラップの前で同期たちと記念撮影をしました。

このスナップ写真は今でも良い思い出になっています。
すがすがしい元旦の仕事始めでした。🎌




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