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住宅を手に入れる方法

家を手に入れる方法は何通りもあります。
 ・すでに建っているものを買う方法
 ・決まった形のものを買う方法
 ・一から好きなように作る方法

などなど。

沢山の方法があるにも関わらず、家はハウスメーカーで買うものだと思っている方が多くいらっしゃいます。設計事務所の仕事がどんなことなのかもあまり知られていません。

家を建てるのであれば、あなたにとって一番良い方法で建てるべきです。

ハウスメーカーに頼むことが誰にとっても良い訳ではなく、また、設計事務所に頼むことが誰にとっても良い訳でもありません。
大事なのは違いを理解して選ぶことです。

このマガジン「家づくりの方法」では、あなたがどの方法で家を手に入れるべきかを選ぶ助けになるようにその方法の違いを挿絵や図解を多用し解説します。

私たちは設計事務所ですので、少々( 大いに) 偏った描き方にはなっていますが、その点はご承知頂いた上で、あなたの家づくりの一助となることを願っています。

全体目次

第1 章 住宅を手に入れる方法   ←今ココ!
・1-1 住宅購入はショッピングなのか? 
・1-2 販売形態
・1-3 誰が建てるのか
・1-4 設計と施工の違い
第2 章 ハウスメーカーと設計事務所5つの違い
・2-0 競合ではなく棲み分け
・2-1 設計の自由度
・2-2 実際の工事費
・2-3 設計と施工
・2-4 比較が出来るのか?
・2-5 保証とメンテナンス
・2-6 5 つの違い- まとめ
第3 章 何を基準に選ぶべきか
面倒なことと楽しいこと
HM /設計事務所 適正チェックシート

第1 章 住宅を手に入れる方法

1-1 住宅購入はショッピングなのか? 

例えばシャツを買うとします。その方法は、
・S・M・L の3 サイズの中から既製服を買う方法

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・既製服だが首回りや袖の長さの組み合わせの中から選ぶ方法

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・いくつかの型紙をもとに仕立ててもらう方法

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・全く新しい型をデザインしてもらって仕立ててもらう方法

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などがあります。

そしてそれに掛けるお金の考え方も、
・すぐに駄目になるから安いものを頻繁に買い替える方法
・良いものは長持ちするので高いものを長く使う方法

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などがあり、その時その時によってその判断は違うかもしれません。

住宅もある程度は同じです。一口に言っても色々な形のものがあり、色々な方法で手に入れることが出来ます。その意味で住宅購入もショッピング
的な要素があります。

しかしながら、頻繁に買い替えることが出来ない大きなものである為、衝動買いは出来ません。良く考えて、必要なことを厳選して求めるべき
す。

厳選するためには、まずどのような方法があるのかを知る必要があります。
ここではその基本情報として住宅を手に入れる方法をご紹介します。


1-2 販売形態

住宅を手に入れるには、大きく分けると
 ① 建っているものを買う方法( 建売住宅)
 ② 決まった形のものを建ててもらって買う方法( 売建住宅)
 ③ 自分好みのものを建てる方法( 注文住宅)

の3つがあります。
それぞれの特徴を以下に記します。


 ① 建っているものを買う方法( 建売住宅)

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工務店やハウスメーカーが土地を取得し建物を建てた後に土地建物一体で販売するもの。一団の土地をデベロッパーが開発して一斉販売する場合もある。
◎ 実際の建物を見て購入を決めることが出来る。
◎ 比較的安価。
× 既に建っているので仕様の変更が出来ない。


 ② 決まった形のものを建ててもらって買う方法( 売建住宅)

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土地販売時に建築条件付として建設会社が指定されている。
地元工務店の場合が多い。
◎ 土地代としては比較的安く設定されている。
△ 不動産業者系の建設会社は、比較的安価だが
  品質はあまり良くない。


 ③ 自分好みのものを建てる方法( 注文住宅)

代田断面

オリジナルの住宅を設計すること。工務店・ハウスメーカー・設計事務所いずれでも可能。
◎ 希望の建物をつくることが出来る。
× 土地の手配は別で行う。


1-3 誰が建てるのか

工務店・ハウスメーカー・設計事務所、よく聞く言葉ではあるけれどその違いはよく知られていません。

建物が建つまでには、
・図面を描く人
・工事をする人
・そのマネージメントをする人

が必ずいますが、それぞれの会社形態によりその力の入れどころが異なります。


ハウスメーカーの場合

組織体系 ハウス

ハウスメーカーが設計と施工を一括で請け負う。実際の施工はその下請けの工務店が行う場合が多い。マネージメントはハウスメーカーの営業担当
が担う。
◎ 初期段階から総工費を確定できる
◎ 早い
◎ 営業職がローン手配もしてくれる
△ 打ち合わせの回数が少ない
× 設計能力が低い。
× 細かな仕様変更や規格外のものを選択できないことがある。
× 独自技術開発によるクローズド工法のためにメンテナンス工事を他社が行うことが出来ない。



設計も行う工務店の場合

組織体系 工務店

実際に施工を行う会社が設計も同時に請け負う。工務店が設計・施工全てを一括で請負うので当然マネージメントも工務店が行う。
◎ 関係企業が1 社のみなので総工費を安価にできる可能性がある。
△ 技術力に差がある。
△ 設計能力は高くない。
× 自由設計が可能だが、工務店の得意とする工法に限定される。



設計事務所+工務店の場合

組織体系 設計事務所

設計は設計事務所が行い、施工は工務店が行う。それぞれの専門職が協力・監視する体制。設計事務所が建築主の代理人としてマネージメントを行い、工務店の選定などについて助言する。
◎ 設計の創意工夫がある。
△ 打ち合わせの回数が多い。
△ お金持ちでないと受け付けてもらえないと思われている(誤解)
△ ローン手配などを自分でやらなければならない。
× 時間がかかる
× 設計業務が終了するまで工事金額が確定しない。


1-4 設計と施工の違い

設計と施工の違いもまたよく聞く言葉ではあるけれどその違いはよく知られていません。

【設計とは】
設計とは、お客様の意向を聞き取り図面化して施工業者に伝えることです。また、それに付随する各種調整を行います。
監理とは、設計者がお客様の代理人として施工が図面通りに行われているかチェックすることであり、この二つを合わせて設計監理業務と言い、
設計者がお客様より委託されて行います。
【施工とは】
施工とは、工事を行い建物を完成させること。工務店がお客様より請負うので、この契約を工事請負契約と言います。


一括発注体制と三位一体体制
設計と施工を同一社が行う場合と、別な会社が行う場合があります。

ハウスメーカー・工務店の場合

設計施工分離1

設計と施工を同一社で行う場合、施工のチェックが甘くなる(あるいはまったく監理されない)傾向があるため、健全な品質向上体制とは言えません。


設計事務所+工務店の場合

設計施工分離2

設計監理と施工が分離している状態においては、設計者は施工者を、施工者は設計者をチェックするという関係が築かれます。これは欠陥工事を生
まないための原則であり、公共工事では必ずこの形式で行われます。



今回は導入部分なので固い内容になってしまいました。次回からハウスメーカーと設計事務所の違いについて、裏話も交えてもう少し皮肉たっぷりにお送りしますのでご期待ください。


この内容は弊社で作成した小冊子をnote用に転載しています。紙面で見たいという方はお問合せ下さればお送りいたします。




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