同じ顔で良いですか?
同じような部屋、同じような家、同じような街。
初めて訪れた街なのに、どこかで見たような家が建ち並んでいて、どこかで見たような風景に出くわすことがあります。
その街には歴史とか名産とかの独自の文化があるはずなのに、ほかの街と同じ雰囲気。
住宅も同じです。
住んでいる人はみんな違うのに同じ家。同じ雰囲気。
もっと面白そうとか、楽しそうとか、そんな家が増えたほうが良いなと思っています。
◇ ◇ ◇
家づくりの方法第2章は、ハウスメーカーの営業があまり言わないことを中心に、ハウスメーカーと設計事務所に頼んだ場合の違いを5 つのポイントから解説します。
1.設計の自由度
2.実際の工事費
3.設計と施工
4.比較が出来るのか?
5.保証とメンテナンス
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一つ目のポイントは設計の自由度についてです。
セミオーダー
まずハウスメーカー(HM)のカタログを見たり、住宅展示場に行ってみたりしましょう。そこでワクワクするような感覚を得られるかどうかを試してみることが出来ます。
最近はハウスメーカーの自由設計にも選択肢が増えてきています。基本的なシリーズ商品にオプションをつけてカスタムするというセミオーダー式が主流だと思います。
自動車購入に近い感覚で買い物が出来るとも言えるでしょう。実際の商品が展示場にあるので実物を見てから買えるというのが最大の利点です。
オリジナリティー
展示場で見るものの全てが何となく気に入らないと感じる方もいます。
万人受けを考えたハウスメーカーの商品はどの点でも及第点ではあるものの、その反面、個々の特別なライフスタイルに合致したものにはなりません。
「せっかく注文住宅を建てるのだから、自分たちの感性に合った建物をつくりたい」と強く思っている方にとっては、琴線に触れるような驚きはあまりないかもしれません。
各メーカーの熱心なサービスや呼び込みに却って怪しさを感じる方もいます。どれを見ても同じに見える。どの営業マンも信用できないと感じたら、設計事務所に問い合わせてみることをお勧めします。
なぜ同じ顔なのか?
どれを見ても同じに見えるのは、その建物の考えが分からないからなのだと思います。
実は建物にも思考があります。その形に至った理由と言い換えても良いですね。
モノの「かたち」には必ず理由があります。
しかし、その理由が自分にとって興味のないことであると理解できないため、建物の思考が読めず特徴をつかめないのです。
これは人間にも例えることが出来ます。
人間はそもそも同じ顔の人はいません。
にもかかわらず、顔を覚えられないことがあります。外国人の顔が同じに見えたりしますよね。
僕はこれは思考が読めるかどうかによるのだと思っています。
違う顔をしているのは、違う考えを持っているから。
でも、思考が読めないならば同じ顔に見えてしまう。
思い返してみて下さい。どうしても顔を思い出せない人は、何を考えているか分からなかった人です。好きか嫌いかではなく。
外国人の顔が同じに見えるのはその国の人の思考パターンを知らないからです。
少なからず似た文化の中で育った人間は似た考え方になるものです。
だから同じ国の人はそこそこ同じ顔になります。
ハウスメーカーや建売の家にもその形でなくてはならない理由があります。
それは生産コスト削減のためのシステムであったり、流通の合理化のための規格であったり。
その理由を探してみるとそれはそれで面白いのですが、直接の生活とは無縁のものであったりもします。
つまり、自分のライフスタイルとは関係のない理由で出来た「かたち」には理解が出来ず、違いが分からないということになりがちです。
建築家が設計した建物が特徴的なのは、その時その時のお客さんに固有の特別な思いをかたちにしているからです。
同じ顔の人はいないのだから、その人の為に建てられた建築は他と同じ顔にはなり得ません。
あなたの顔はあなただけの顔です。
それでもみんなと同じような顔をしていた方が良いのか、ちゃんとあなたの顔として認識してもらいたいかどうか。
それが注文住宅の設計の自由度の違いだと、僕は思っています。
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