散文 『知らない背中』
自分に正直な体であるために
普段、触れる機会が少ないであろう背中に
人より多く触れて
逆に、その背中は
普通よりも多くいろんなものに触れているな
と感じそのことを散文にしました。
『知らない背中』
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痛みや違和感がなかったら
おそらく
意図的には
一生触ることのなかった
背中に素肌に
数え切れないほど触れ
何人ものひとに触れてもらう
こんなことはないだろう
その度にわたしは
その人たちをわたしの中に入れた
そしてわたしも
熱も傷をつけるその爪も
優しく撫でる手や指先も
皮膚を隔てて ある存在を
ある意味ひとつにしようとする
かけらを集めて
わたしたちは大人になった
そんなの知らないというように
生きていてくれないか
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