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イエスマンの夏休み

大学のテスト期間が終わり、燃え尽きていた頃。

勉強続きの日々から解放され、何をすれば良いのか(冷静に考えれば分かる筈だが)分からなかった。

何かしなければ始まらない、と思い、映画でも観ようと、Amazonプライムで『イエスマン』という映画を観た(以下ネタバレを含む)。



今までどのような誘いも断ってきた主人公が、あるセミナーをきっかけに、二者択一を迫られたときに、「イエス」と言わなければならなくなる(誠に脅迫めいたセミナーである)。

初めは義務的に行なっていたのも束の間、了承した先々での出会いがきっかけに、「イエス」という言葉の魅力に気付き、沢山のことに快諾し、人脈や趣味も増え、仕事で昇進し、恋人もできて人生が充実する、という話である。

ここで、『趣味が増え、昇進し、ガールフレンドもできる』ことが人生の成功例として挙げられているのに若干の違和感を覚えたが、とにかく、「イエス」と言うことが何もしていなかったここ数日間の私への処方箋なのではないかと思った。

それからは自分自身への問いに全て「イエス」と答え続け、積極的に資格の勉強をし、お稽古事にもより一層邁進するようになった。

勉強において高いハードルを設け、そのために学校に行って図書館に籠ったり、家にいる時間は常にヴァイオリンを弾いていたりと、我ながら忙しい毎日を送るようになった。

そこで、昔からの自分を顧みて思ったことがある。

『目標に向かって切羽詰まって努力している状態でないと、途方に暮れて自己肯定感が下がる』

ということ。

学校のテスト一週間前など、追い込む時期に特に『生きている』という実感が湧くのである。

私は、休暇を休暇として有意義に過ごせない人間なのかもしれない。

それならばより一層、適度な『イエスマン』として生きてみようと思う。

映画の主人公のように、気がつけば自分の可能性が広がっていた、というような夏休みにしたい。

私の夏休みは、ここに始まる。

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