人の心にこびりつくような演奏がしたい
昨日の夜、パートナーと昭和歌謡曲の話になった。Apple MusicやYouTubeで再生し、感想を言い合う。じゃあ最後にと、パートナーが再生したのが村下孝蔵さんの『初恋』だ。
わたしは昭和58年生まれ。おなじ年の2月、村下孝蔵さんの『初恋』がリリースされたそう。歌詞が美しく、村下さんの紡ぐことばを何度も噛みしめた。
村下さんの声に乗せられた物語を、少しだけ紹介させてほしい。そして、皆さんにも『初恋』を聴いてもらいたい。
セッションする曲は昭和歌謡曲?!
昨夜、わたしはパートナーと一緒に外食してきた。その帰り道、パートナーはこんなことを提案してきた。
「2人で久しぶりにセッションしたいね」
通勤中、パートナーは車中で昭和歌謡曲を聴いているそう。というのもカラオケで歌ったり、ギターで弾き語りしたりするチャンスを伺っているのだとか。だから車に乗っている時間を使って、ひそかに練習しているらしい。
少し話が脱線した。
「どんな曲をセッションしようかねぇ?」
と、私が問いかけると、パートナーから森進一さんの『襟裳岬』を提案された。
たしかに、イントロでトランペットのソロがある。(でも音域が高いなぁ)などと考えていたら、すぐに彼が『襟裳岬』を再生した。
そこから昭和歌謡曲を何曲か聴き合い、2人でセッションする曲を探す。しかし、どれもいいねと好きな曲をかけ合う会になってしまった。
村下孝蔵/作詞・作曲『初恋』
好きな曲をかけ合う会は、『北酒場』や『ルビーの指輪』、『UFO』などを再生して大盛り上がり。じゃあ最後にと、パートナーは村下孝蔵さんの『初恋』を再生する。
パートナーもわたしも、聴き入ってしまった。
情景描写
雨って緑色に見えるんだ、あんず色ってやさしい響きだなと、村下さんのことばを噛みしめる。
思春期の恋心
サビのワンフレーズ。ふりこが行ったり来たりする様子を、思春期の恋心とリンクさせるなんてと、40歳の心もざわついた。
浅い夢
サビの最後に必ず登場する「浅い夢」。村下さんのいう「浅い夢」について考えてみた。「浅い夢」があるのなら、「深い夢」もあると仮説を立てる。
「深い夢」とは、ぐっすり寝ている状態で鮮明に見た夢なのかなぁと推測。これはきっと、恋愛が上手くいっている夢だろう。反対に「浅い夢」とは、起きてからも記憶がよみがえるほど、こびりつく夢なのでは?と解釈。はかない恋心を、「浅い夢」と呼んでいるとしたらどうだろう。
はかない恋心が胸をはなれないのだとしたら、なんと切ない歌詞なんだと思った。
少しネット検索したところ、『初恋』も収録されている村下さんのアルバム『初恋〜浅き夢みし〜』を知る。このタイトルからも、彼の強いこだわりを感ぜずにはいられない。
自身の演奏に活かしたい
実はわたし、普段はオーケストラの曲やトランペットが活躍する曲、いわゆるインストゥルメンタルを中心に聴いている。流行りの曲は、ほとんど知らない。メロディは聴いたことがあっても、歌詞を知らないのだ。
何気ないパートナーとの会話がきっかけで、素晴らしい歌詞に出会えてしあわせだ。いままで歌詞に注目することがなかったが、もったいない人生を過ごしてしまっていたのだなぁと気づかされた。
村下孝蔵さんの『初恋』を聴き、一言一句、捨て歌詞がないという印象を受ける。彼の歌詞を噛みしめるほどに、胸が締め付けられるようだ。これが初恋の物語なのかと思うと、甘酸っぱいなとも思う。
そしてわたしは、こう決意した。
「人の心にこびりつくような演奏がしたい」
結局、彼とセッションする曲はまだ決まっていない。でもせっかくなら、好きな歌詞の曲を選びたい。だってそのほうが、感情を乗せてトランペットを演奏できそうだから。
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