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カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】

田舎にふたつの村があり、コンビニが一軒ずつありました。
コンビニ達は、お互いに惹かれ合い、逢瀬を重ねていました。

「ごめんなさい。今まで黙っていたけど、私、コンビニじゃないの」
「えっ」
「地方によくある、おんぼろスーパーなの」
「そんな、きみが値札は全部黄色い厚紙に手書きしてあるようなお店だったなんて……で、でも、ファミリーのマートなんだし、名前は間違ってないよね」
「騙していてごめんなさい。あなたに嫌われたくなくて」
「いや……実は僕も、コンビニじゃないんだ」
「えっ」
「ただの商店なんだ。集落にひとつだけあるタイプの。おばあちゃんが一人でやっているタイプの」
「ああ、店名が『名字+商店』のタイプの……」
「午前七時から午後十一時までの営業じゃなくて、午前十一時から午後七時までなんだ。僕のほうこそ、見栄を張っていたんだ」
「ううん、いいの。ふふ、私たち、似た者同士だったのね」

二人は、偽物のコンビニから、本物のコンビになりました。

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