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エモすぎる謎ねぶた【毎週ショートショートnote】

大学のゼミの先輩をやっと口説き落とし、ディズニーランドでのデートに連れ出した。

「なかなか楽しかったよ。特に、最後のパレード」

おっ、エレクトリカルパレードが刺さったか。
いつも研究が第一で、色恋沙汰にはまるで興味がない人だから、まずは少しでもエモいムードみたいなのを意識してくれたなら――

「なんか、ねぶたが見たくなってきたんだ」
「ねぶた」
「そう、流れている音楽も、途中からラッセラー、ラッセラーって掛け声みたいに聞こえてきてさ」
「……先輩、ここでも研究優先ですか」

僕と先輩が所属しているのは、民俗学ゼミ。地方の祭りは、まさに先輩の研究対象だ。
エレクトリカルパレードもねぶたも、夜に灯りをつけた巨大セットが賑やかに練り歩くって考えると、確かに似たようなもの……いやいや。イメージが謎に飛躍しすぎだろ!

はあ、やっぱりこの先輩相手に、エモい展開を期待するのが間違いだったか――

「……だから、次はねぶたを見に行こう。二人で」
「えっ」

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