ブーメラン発言道×ラーメン部骨伝導【毎週ショートショートnote】

「俺は生きている限り、ラーメンを食べ続けるんだ」

いつもそう豪語して、仲間と毎日大好きなラーメンを食べ続けていた部長だったが、身体を悪くして入院し、食事制限がかかると、すっかり元気を失くし、体調も悪化していった。

「ラーメンが食べられなけりゃ、生きている意味がないよ……」

今までの口癖がすっかり裏返ってしまっている。心配した部員たちは、知恵を出し合い、一計を案じた。

『フー、フー、ズズッ、ズルズルッ』

食べられなくても、せめて、臨場感ある音を味わってもらおうと、咀嚼音ASMRを届けたのだ。耳まで遠くなりつつあった部長のために、骨伝導イヤホンを使って。

「部長、いつも言っていたじゃないですか。『俺は、どんなに険しくとも、ラーメン道を歩んでいくんだ』って」

「ああ……そうだった。ありがとう、みんな」

そして、リハビリに励む部長の口癖は、また少し変わりつつ戻ってきた。

「俺は、何としても生きる道を選ぶよ。再びラーメンを食べるために」