見出し画像

戦国時代の自動操縦【毎週ショートショートnote】

時は戦国の世。
とある小国にあって、全国にその才を知られる名軍師がいた。
名を、冴渡軍斎(さえわたり ぐんさい)という。

いくさでは巧みな戦略眼や用兵術を駆使し連戦連勝。また機を読んだ交渉による懐柔や牽制、他国同士を争わせるような謀略にも長けており、陰に陽に周辺国を翻弄し続けた。歴史愛好家の間では、弱小国を率いながら時代を影から操った『戦国時代の自動操縦者』との異名を持っている。

そのため、現代の戦国シミュレーションゲームにおいても、当然ながら最高レアの強キャラとして設計されている。
しかしながら、プレイヤーの間では今ひとつ人気がない。戦場を支配できる最高峰のスキルを持っているが、その分、コストも発動の手間もかかるためだ。

むしろ、大した実績のない隣国の軍師・脇甘盆斎(わきあまし ぼんさい)のほうが、ノーマルレアなのに人気が高い。どうも、オート戦闘モードで放っておいてもずっと継戦可能な「放置性能」が評価されているらしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?