ひとり喫茶店

なんでもない時間にふらりと喫茶店を一人で行くのが好きです。
場所や空間を味わう行為が好きだからです。一人でいくとその場所や空間に居る充実感のようなものに強く浸れて楽しいです。

友達や、家族でいくとその相手を共に過ごす時間を優先して夢中になっていて、は!と気付くとこんな空間に私は今いたんだ。と時々思います。もしくは、気心の知れた相手であれば一緒に同じ空間に行って、そこで各個人好きな事を楽しみながら、適度な距離感で一人の世界を楽しむ。など。そうすると一人の世界を同じ場所で共有する絶対的な安心感や、充実感が生まれて気持ちいいです。

誰かと一緒にいる事、人と何か関係を持つことが目的なら、場所や空間はどこでもいいのかな?ともすこし思います。場所や空間から生まれる、新しい関係性もあるかもしれないけれど、そうなると、そこに「その人」と行く事が目的になっている様な気がするので。例えば一緒にご飯を食べる時、自身の好きなレストランに相手を連れていくのは、その場所を相手と共有したいという気持ちより、相手が自身の提供した場所に入ってきてくれた行為が嬉しかったり、そこのお料理を「美味しい!」と言って食べてくれたならば自身と過ごした時間にポジティブな気持ちを持ってくれた事が嬉しいな。と感じるので。やっぱり、場所や空間を味わう行為は一人じゃないとできないのかなと思います。

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ひとり喫茶店は
ゆっくりしたいのなら、自宅でコーヒーやお茶を飲めばいいのに、わざわざ喫茶店にきて各個人が好きな事をして、一人の時間を潰していく感じがあります。完全に一人じゃなんとなく寂しいから、知らない人達と空間を共にしながらも、個人の時間を堪能する。少し他人に見られながら、自分の時間を過ごす適度な緊張感が楽しいのかな?その空間を誰かと共有している、という行為が楽しいのかな?

好きな喫茶店の様子は、お客さんが独りづつ、テーブル席に座り
生温い空気の中、誰一人、会話もせず、淡々と、各個人の世界を楽しむ様子です。喫煙可の喫茶店だと、尚更、その状景に趣が出て良い。と感じています。タバコの煙が、光にあたりながら、ふわふわと空間を漂う様子は見ていて楽しいです。

虚ろな目で窓の外を観ながらタバコをすい続ける、年配女性。
極力音をたてない様に、そっとスポーツ新聞をめくる老年男性。
ただひたすらスマホの画面を見続ける、若い男性。
一言も会話をせず、目も合わせず、お互いただじっと雑誌を読み続けている、夫婦。
偶然そこにそろった人達によって構成される、ぽかーんとした空間。

私も喫茶店に入って何をするわけでなく過ごします。コーヒーのみながらただ、ぼけーっとするのが好きです。で、思い立ってSNSしたり、ネットしたり、本を読んだり。周りの様子をずっとずっと眺めたり。外や家にいると「あぁ!何かしなくちゃ!」という焦る気持ちが出てくるのだけれど、その焦る気持ちを遮断する不思議な空間だなぁと思います。ひとりで行っているのだけれど、ひとりを感じながら、実際はひとりにはなっていない。その少しの寂しさを解消できるのが私は好きなのかなぁ。

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