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No.37 エメラルド

中古で買ったエメラルドのルース。
ソーティング付きで色も透明感も申し分ない。ヒビや傷、インクルージョンは多めだが、それもまた味である。
ちなみにこのエメラルドにはソーティングにて「含浸処理あり」とのコメントがある。恐らくオイル処理がされているのだろう。
エメラルドは中にクラックが入りやすい。そのため椿油や重油をしみこませてクラックを目立たなくさせる処理、俗にいう「オイル処理」をしてあることが多い。要するにこのエメラルドもオイルにつけてあったという事なのだろうと私は思う。
「つまり人の手による加工があったって事だよね?ならばそれがない方がいいじゃん」
と思う方は多いはずだ。実際オイル処理のない「ノンオイル」のエメラルドもあり、オイル処理した「オイルイン」のエメラルドよりも高価だ。
しかし、ある程度知識を付けた身から言わせてもらうと、その辺はぶっちゃけどうだっていい。はっきり言ってこだわってないのだ。
実はエメラルドに限らず宝石に加工されるほとんどの原石は椿油に浸した状態で運ばれるのだ。何故かと言うと原石は表面が乾燥して白くパサパサとした状態に見えるので地の色がわかりにくい、そのため油で表面をコーティングすることで地の色を見やすくし、原石の状態を正確に判断しやすくしているのだ。
しかし先ほども言ったがエメラルドはクラックが多い。当然椿油に浸けたらクラックの隙間から入ってしまう。要するにこの時点で自然とオイルインの状態になっているのだ。
だから、エメラルドのオイル処理はしょうがない。運んでくる時点で入っちゃうのだから仕方ないのだ。むしろノンオイルにするためにわざわざ中に入り込んだ椿油を機械で無理矢理抜いているところもあるらしいから、一概に「ノンオイル=100%未処理」とも言えないと思う。
それならば私個人としては正直に「オイル処理してます」と言ってエメラルドを売っている業者の方が信頼できる。またエメラルド自体も素直にオイルインのモノを買った方が安心である。
要は「処理しているかどうか」ではなく「本当のことを言っているかどうか」で宝石を選ぶべきなんだろうなと思う。宝石を見る前にまずは人を見るべき、なのかもしれない。

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