読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 13 百鬼夜行
さて終盤に差し掛かってきた。
ちょっと長めの記事になります。
目次はこちらです。
まとめ 読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」進捗 1~12まで
グーテンベルクのリンクです。(英語版・フランス語版)
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん
前回までの記事
注:この記事はすごくネタバレです!
フロロの考えたグランゴワールへの驚愕の提案「エスメラルダを助ける件について」
① 詩人とエスメラルダを取り替える
↓
② 詩人が絞首刑になる
問題・解決☆
グランゴワール「ないわ~」
あれほど拒否され後にも関わらず、こういう提案をするということは…。
とりあえずフロロがここでエスメラルダを助けようとしている気持ちは伝わってきた。
そこだけはフロロのために言っておかないといけない。
お前、助けるつもりは一応あるんだな?
だけどやり方がまずい。
「彼女のかわりに死んでくれ」
グランゴワール君、断固・拒否!!
「なぜ?お前死刑からエスメラルダに助けてもらったんだろ?もらった命を返してもいいんじゃないのか?」
食い下がるフロロ。
私もそれ、ちょっと思った。
グランゴワール「それとこれとは別!!別だから!!」
あの時助けてもらったから今、救われた命を彼女のために使って…などという美しい理想は現実の前では夢物語だった。
二人は相談の結果、ある一つの手段を試みようとする。
グランゴワールとフロロ、エスメラルダの兄に会いに行く。
ジプシー王クロパンだ。
(ディズニーのクロパンはあまりにも別人すぎる)
エスメラルダとは地下世界で一緒に養育されたようなので、義理の兄妹ということになっている。
取替えっ子なので本当の兄妹ではないが…。
おそらく、彼はカジモドの兄なのだろう。
クロパンはエスメラルダの身を憂えていた。
少なくとも、完全になかったことにしてるフィーバスや、まるっと無視のグランゴワールよりは百倍ましだった。
あれこれ相談した結果、合意したクロパンは地下世界のジプシーや悪人たちに号令をかける。
エスメラルダを取り戻せ!
ノートルダムを襲撃だ!
すごい迫力、すごい盛り上がり方。
地下組織の群衆が渦となって闇の中を行進する。
百鬼夜業だ。
クロパンが指揮をとっている。
ノートルダム目指して押し寄せる。
カジモドは大寺院の中で、不吉な予感を感じていた。
なんと、地下世界の悪人連中にすっかり馴染んでしまったフロロ弟もちゃっかり混じっている。(はい?どこでいつ?)
この状況を一歩立ち止まって考えれば、そもそも冤罪を押し付けてエスメラルダを告発したのはお前だろ!というフロロだ。そもそも論だ。
それがエスメラルダを助けるためにあれこれ考え、グランゴワールからクロパンを動す所にまで至ったのだろうが…。
本当に助けたかったらフロロはちゃんとカジモドに伝えておけよ、と思う。
それをしなかったのは、何かよこしまな意図が働いているのでは?
たとえば、この群集にカジモドを殺させようなどという意図があるのではないか?嫉妬は怖い。
ここで色々な疑問点。
エスメラルダも、殺してもいない人を殺した殺したと言われて縛り首にされようとして、こんな大騒動にまで発展したわけだが、肝心のフィーバスくんがいくら怪我で人事不省でいたからといって、なぜ死んでいないことが伝聞でもいいから伝わって来ないのか。
フィーバスはこの事件の当事者なんだから聞き取り調査ぐらいしろよ。
もう「殺そうとしたっぽい」というだけでジプシーだからどうでもいいのか。告発したフロロに絶大な信頼があるから?
それにしては、たった一人のジプシー娘に対して、一度下った判決は遂行しようとする。何がなんでも死刑にしようとする努力だけは惜しまない。
その執拗さと粘り強さを違う所に注げよ!
昔の未熟な司法は、底辺の人たちのことなどほとんどゴミクズ程度にしか思っておらず、全てのトラブルを縛り首・縛り首でポンポン殺して万事解決、ということをいとも簡単にやっていたんだなあというところが垣間見られる。
いや、今も同じなのかもしれない。
隊長本人も、もっとも彼女が無実であることを証明できる人間なのに司法に申し出ない。これはやはり、事情を詳しくほじくられると婚約者にバレるのが都合が悪いということなのか。
それとももともと何も考えていないのか。(もうエスメラルダのことも忘れてそうだった)
微妙なキャラと微妙な行動、すれ違いとそのそれぞれの行動によって物語は流れ運命は決定していく。
読みながら思ったが、描写がとてもはっきりしている。
エスメラルダはプリティとかビューティブルとか、雨あられでとにかくいっぱい使っている。出し惜しみしていない。
「美しいという言葉をいかに使わずに美しさを表現するかが良い描写なのです」みたいなことを昔習った記憶がある。
しかしこういうのを読んでいると、なんだかそういうテクニックみたいなものが馬鹿みたいだなと思うこともある。
もっと自由でいい。
こうしてダイナミックにグイグイ引きずり込まれていく。
ビューティフルを乱発してたとしても、それがおかしな描写だとは全く思わない。
むしろエスメラルダがあまりにも美しくてあまりにも可愛いのに、余計に本当にこの運命はひどいという気にもなる。
逆にあんぽんたんのことはあんぽんたんとはあまり乱発はしていない。
そこはやっぱり描写でちゃんと表現をしている。
でもちゃんとたまに「ヘッドレス」なんて出してくると「ふむ…」となる。
クロパンさんが大演説でエスメラルダを返せと怒鳴る。
…のだが、残念ながらカジモドは耳が聞こえないのでその意味を汲み取ることはできない。
この息詰まる緊張感の中のダイナミックなシーンを何に例えたらいいか考えたがさっぱり思いつかない。
国会議事堂に押しかけてるようなイメージだろうか?
でもそれだとベルサイユに押しかけてる革命を叫ぶみたいになるし。
最高裁判所というわけでもないし、東京タワー?本能寺?本願寺?それも少し違う。
ノートルダムとしか言いようがない。
パリの心臓部、パリの象徴。
(あのノートルダムが燃えたなんていまだに信じたくない)
彼らが突入しようとすると、多分カジモドが投げたらしい梁が上から降ってきて、かなりの人が押しつぶされる。
一人の少女の縛り首を回避するためにたくさん死んでる。
ノートルダムの扉が頑丈で、たくさんの鉄の棒が通っていて開かないので今度は波状槌を持ってくる。
そうすると上からいっぱい石が降ってくる。
エスメラルダを助けようとしてやってきたジプシーの大群とカジモドの戦い。全くどちらも得をしない。
意思疎通の欠如による勘違いの虚しい戦いだ。
やはり必要なのはほうれんそう。
報告・連絡・相談!は真実だった!
この真剣なシーンで冗談はともかくとしてものすごい臨場感、すごい迫力、名作だ。こりゃ盛り上がるわ。
蛇が跳ねるようにだよ。この表現がいいよねえ。
投げながら"Hum!"というのは、
ふんぬ!って感じだよね。
悪党は悪党なのでどちらかと言うとエスメラルダのことは口実でやっぱり、泥棒が最大の目的だったのではないかと思われる的なことが書いてある。
とすればやはりカジモドはエスメラルダを守ろうとしてノートルダムそのものを守ったわけだ。聖なる場所が荒らされることを防いだのだとも言える。
かれは庇護者。あのノートルダムの上に座っている怪物たちと同じ意図を持つ。
溶けた鉛まで流してる!
ノートルダムの象徴的な二つの塔から炎が吹き上がっている、とある。
ここの描写はゾッとするものがある。
あまりにも現代の火事とリンクしすぎていて、鳥肌を立てずにはいられない。
名シーンだと思う
フロロ弟も死んだ?
ほんまかいな。にわかには信じられん。あの殺しても死にそうにないキャラがここで?
笑い声が聞こえなくなったから多分死んでるって言われてる。
と思ったが、やっぱりあのキャラがそんな簡単に死ぬわけなく、逃げ出してたところでエスメラルダの方に行くはしご見つけてた。
その梯子のことを伝えるのに、これは自分のはしごだから~@って「譲らないよ一番乗り」的な。
もう説明もめちゃくちゃ。
クロパンちゃんにベルゼブブに絞め殺されろって言われてるくらいだからかなりのものだと思う。
どこから持ち出したのか金属の鎧まで身に付けちゃってはしごをガツガツ登っていく。
この時と場所によってあらゆる顔を見せても、悪党だということだけに関しては全くブレのないフロロ弟の口調を一体どう訳すのか?
これは翻訳者さんの腕の見せ所のような気がする。
一応学生でありながらにして、女好きで乱痴気騒ぎが大好きな悪党系パリピの口調でなければ。そんなんどんなしゃべり方するんだかよくわからん。DJ社長か?(ごめんなさい)
さらに、兄に甘えるときとあまり乖離があってもいけない。僕と俺を使い分けてキャラが違いすぎると読んでる人が混乱するだろう。
さて登りきったところでカジモドくんと鉢合わせだ。
梯子は突き飛ばされてまたたくさんの人が潰された。
彫像やモンスターの間をカジモドを避けながら逃げ回るこの図柄はまさになんかディズニーっぽい、
すごくすごく、とってもとっても、美女と野獣のあの野獣VSガストンのシーンを思い起こさせる。
そういう感じで想像していただいてかまわない。
カジモド、恩人の弟の顔を認識してちょっと止まってしまった。
もうこのあたりになると面白くて文字を追っていく目ももどかしいという感じ。
フロロ弟は(いい加減ジャンって本名呼んでやれよ)さっと弓に矢をつがえて準備しながら、おらおらどうしたどうしたみたいな感じで話しかける。
もうこういうところももろにめっちゃ美女と野獣のガストンと野獣のシーンそのまんま。
カジモドはフロロの弟の甲冑を一つ一つむいていく
弟くんの最期
思考なき力はただの暴力。
たとえ意図が正しくても、エスメラルダを守るためにしていることが、こんな大騒ぎと大量殺人の結果として彼女を死に追いやることにつながるとわからないのだ。
弟くんはクソだがひょうきんでお笑い担当だったし、この戦いの中でもずっと陽気だったのでその死はとても恐ろしかった。
続く
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