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日記とつぶやき

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2019年9月の記事一覧

わたしだけの

わたしは、いぬの物語が書けない。 何度か試してみたが駄目だった。 いぬは特別だから。 ずいぶん昔に死んだ、たった一匹のダックスにまだ心が捕らわれていてそこから離れることができない。 その執着と記憶と悲しみがあまりにも心地よいので、手放す気も起きない。 父が縁側から上がってきて、首を振った。 母が「……んだ?」と聞いて、父は「だめだ」と答えた。 そこでわっと泣き出して、そこから先はあの子のことを見ていない。 毛布にくるんで見せてもらえなかった。 小さなしっぽが少しだ

読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 5 頭空っぽのイケメンがたぶんすべて持って行く

グーテンベルクのリンクです。(英語版・フランス語版) フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。 訳したのはIsabel F. Hapgoodさん 進捗のまとめ記事 前回の記事 前回までのおさらい: ・フロロ弟はパリピのくず。 ・偶然にも兄がエスメラルダに萌えている現場を見てしまった。 ・その萌えネタを使い、兄をゆすって金をむしろうとしている。 ・フロロ拒否!→泣き叫んで「オロロロロロイ」 以下、ネタバレを含みます。 *  *  * フロロのオカルト友達(手下)

こうもりを見るだけの会

「東京にいた頃は、こうもりを見るためだけの会ってのがあったんだよ」 「こうもりを見るためだけの会」 …ちょっと想像がつかない。 「その頃は小学生だったんだけど、先生が夜に生徒をぞろぞろ連れて河原に行って、身を屈めて静かに待つ」 自然観察の延長なのだろうか。 妄想。想像。 「みんなでこうもりを見ましょう!」 「こうもりだって。楽しみだね」 「ちょっと怖い」 「しっ!静かに…」 さっと視界に影が走る。 「ほら、あそこに!」 「おお~!あれが…」 「こうもり!」 ざ

本屋大賞まとめブログおすすめ・他人様の興味深いツイートいくつか

素晴らしい。 めちゃめちゃわかりやすいです。 たまに思うのですが、テレビでの下手な芸能人の書籍紹介より、本読みさんの何気ないツイートの方がよほど購買意欲をそそるなと思うときがあります。 私などは、古典やグーテンベルクで原書といった「いかに金を使わずに面白いものに触れるか」といった所に趣味・興味が行ってしまっているので、ちっとも新書を書店で買おうとしていないのですが、「#本好きさんと繋がりたい」のツイート主の方々の読了報告やおすすめ、たまに面白くなかった報告は、とても「よ

ポタージュとおにぎり

無料の駐車場が埋まってしまうから朝早くに出た。 朝市は初動が肝心なのはわかっているがそうそう起きられない。 なまけものなので。 この日は奇跡的に起きられた。 そういう時を逃しちゃいけない。 まだ人もまばらで、出展者がブースの設営をしている時間帯だった。 早くから完璧に整えている所もあれば、今来たばかりで車から資材を降ろしている所もある。 一つの店の前で足を止めた。 「もう頼めますか?」 「どうぞ」 かぼちゃのポタージュと、六穀米の焼おにぎりを頼む。 朝ごはんの代わりだ

月の話

空を見上げたら月の間近にひときわ明るく輝く星があった。 そのあとにTwitterでこのつぶやきが流れてきて、ああ、あの時たくさんの人が空を眺めて同じことを思ったんだなあ、と思って笑顔になった。 そうか、木星だったのかあ。 あの星は何だろう?と見上げて、私もつぶやこうかなと思った。そしてその問いかけをするのは今じゃない、と思ってやめたのだった。 あの人はいつも「火星だ」と言うから、わたしにはあれは火星だということにしておこう。 (サラダ記念日的なノリで)

ガノタ夫婦の車中 2

(最初に忠告しておきますが、ものすごくどうでもいい話です。) ガノタ夫婦の車中 1 「ねむい…」 「がんばれ。そろそろガンダムか?」 今度は旦那が眠くなった。 眠くなると体を振って眠気を振り落とそうとするのだがこれがまた危ない。 車ごと揺れる。 ここは高速の上! 助けて~~~ガンダム。 ガンダムの話題を出すタイミングを見計らいつつ、たまにはイレギュラーなことをしてみようとする。 流す音楽をプロメアにしてみた。 以前流した時には、これはユニコーンだ!と言われたの

ボードレール「旅への誘い」(フランス詩を訳してみる 11)

Charles Baudelaire, L'invitation au voyage (1857) 『悪の華』より。   わが子よ わが妹よ、   思い描いてごらん、 遠い地へ行って 二人で送る甘い生活を!   思いのまま愛し   愛して死ぬのだ、 きみにそっくりなあの国で。   あの曇り空にうかぶ   潤んだ太陽が 不思議な魅力を放って   ぼくの心を奪う、   きみの涙の向こうで きらめく移り気な目のように。 そこはすべてが 秩序と美、 豪奢、静寂、そして逸楽。

別に毎日こんなんじゃないんだけどさ

携帯のアラームがなる二時間前に目が覚めた。 昨日は夜遅くまで起きていたし、 そうでなくても惰性な僕のことだから普段ならもう一度ベッドに潜り込むはずなんだけれど 今朝に限って何故か眠気はさっぱり失せていた。 頭がまだぼんやりとしたまま、カーディガンを羽織ってベランダに出る。 肌を刺すと言うにはまだそこまで寒くない空気を体に浴びて 僕の頭はやっと覚醒しだす。 向こうに見える斜面の奥から日の光がにじみ出ている。 朝焼けと夕焼けって区別がつかないらしい。 誰かがそんなことを言って

わたしがなりすまし

下の子はお友達とLINEで連絡しあっている。 と言っても、とても携帯なんて持たせる年齢ではないので、お互いがお互いのママのLINEを使う。 下の子はフリックがまだ苦手だ。 急いでいる時には、「何て答えればいいの!?」なんて聞きながら、代わりに私が打つことも多い。 そうしていると会話パターンもだんだん読めて来る。 スタンプを選び、これ押してと言われる前から下の子を装って、下の子の好みっぽいスタンプを送信をする。 下の子は後ろからのぞいて、「ああいいよそれで」と言う。 そう

夏の記憶

メモを失ってしまったので、所々しか覚えてはいないが、旦那の実家に帰省して海に行った記憶をたどってみる。 1.出発まで「起きろ!」 「もう行く?」 「時間勝負なんだよ。早く行かないと駐車場が埋まってしまう」 昨日は夜の11時に出発だし、わたしも旦那も前日は仕事だ。もっともお互いに早上がりした。 この日はばあちゃんの引っ越しに伴う不用品回収業者さん立ち会い→引き上げ後の部屋を掃除→市役所で住所変更→病院で紹介状受け取り→薬局で薬受け取り→買い物→おばあちゃん訪問。 家に帰り