わたしがなりすまし
下の子はお友達とLINEで連絡しあっている。
と言っても、とても携帯なんて持たせる年齢ではないので、お互いがお互いのママのLINEを使う。
下の子はフリックがまだ苦手だ。
急いでいる時には、「何て答えればいいの!?」なんて聞きながら、代わりに私が打つことも多い。
そうしていると会話パターンもだんだん読めて来る。
スタンプを選び、これ押してと言われる前から下の子を装って、下の子の好みっぽいスタンプを送信をする。
下の子は後ろからのぞいて、「ああいいよそれで」と言う。
そうこうしているうちに、下の子はトイレに行ってしまった!
『明日何時まで遊べる?』
下の子は判断が付かず、私でなければ返事が出来ないような内容なので、仕方なくもう下の子に確認せずに打ちこんでしまう。
『5時までだよ❤』
だんだん、錯覚に陥った。
ネカマや学生のなりすましの気持ちがわかる気がした。
『明日は適当なものを持っていこうと思います』
突然の大人びた口調の返事が来る。
こ、これは…。
似ている…。
お友達ちゃんのママの口調に似ている!
下の子のお友達ちゃんとわたしが会話しているようだと思っていたが、実は「下の子を装ったわたし」と、「お友達を装ったお友達のママ」が会話しているのではないだろうか!?
親同士がお互いに子供のふりをして会話している状態なのではないか、という疑惑が生まれた。
脳裏に鮮明に携帯を触っているお友達ママさんの姿まで浮かんでしまった。
これがまた、いい人なのだ。
今度会ったら話してみよう。
また遊ぼうね。
終わり
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