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浪人生の僕の背中を押してくれた1冊。

 僕は、大学受験のため、1年間浪人生活を送った。
志望校のためとはいえ、元々勉強が好きではなかったので、浪人生活は過酷な日々だった。特に僕が通っていた予備校は、厳しいことで有名で、朝から晩までみっちり勉強させられた。

 風呂・トイレは共同で、毎日が合宿だった。
もちろん、夜更かしも枕投げも許されない。正真正銘、勉強だけの毎日である。

 その頃に出会った1冊の本がある。
僕は、勉強のモチベーションが上がらないとき、鞄から取り出し、よく読んでいた。まさに、浪人生の僕の背中を押してくれた1冊だった。

 本のタイトルは、『それでもあきらめないハーバードが私に教えてくれたこと』
初めは、ただのハウツー本だと思っていた。けれども、表紙の女性がそっと微笑み、一瞬何かを語りかけているように見えた僕は、パラパラとめくり始める。

「これは、面白い」
僕は、本の世界に引き込まれるかのように、ずっと読んでいた。そして、何度も何度も繰り返して読みたい。部屋に置いたら、モチベーションが上がるかもしれない。そう思った僕は、すぐさま購入を決意した。

 本は寮の自室に飾られた。
「お前、ハーバード目指すのか?」
「いやっ、そんなわけあるか」

 寮の友達は、びっくりした顔をした。
けれども、「読んでごらん」とその本を渡し、返ってきた頃には、その友達は感激の表情を見せて、こう言った。

「俺もやる気が出た」


 この本で一番印象的だったのは、「どんなことにも本気を出す」というお話だ。

「なんて負けず嫌いな人たちなんだろう」授業や課外活動に参加する中で、私がハーバードの人たちに抱いた印象である。私も負けず嫌いなところがあるのだが、そんな自分が面食らうくらい、この学校には根性のすわった人たちが集まっている。

『それでもあきらめないハーバードが私に教えてくれたこと』p68より引用

 僕たちは、どこかで、本気で取り組んだり、必死になることを恥ずかしいと思うところがある。けれども、「本気で挑むこと」は、生きていく上で大切なことだ。

 挑戦なくして、成功なし。
この本は、それを改めて教えてくれた。ハーバードに挑戦した女性の言葉には、説得力があった。そして、そこには、ドラマがあった。

 著者の林英恵さんは、ハーバードに入るまで、決して順風満帆な人生ではなかった。
それは、僕たちが抱く「ハーバード」のイメージとかけ離れていた。だからこそ、「本気で挑む」というメッセージがぐさっと刺さる。

就職氷河期の中、就活をするもうまく行かず、フリーターとなる。その後、アルバイトをしながら、海外の大学院を目指し、ボストン大学の合格通知を得る。卒業後は、アメリカで就職する。ちょうどその時、念願のハーバード大学の大学院の合格通知が届く。そこから大学と仕事との二足のわらじが始まる。

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 やる気が出ないとき、不安なとき、背中を押してほしいとき。
この本は、僕の背中をそっと押し、やさしく語りかけてくれた。きつい浪人生活を豊かなものにしてくれた。

 今回紹介した、「どんなことにも本気を出す」という話は、ほんの一部に過ぎない。
1章にも満たない。他にも、たくさんのストーリーがあり、たくさんの学びがある。

 そして、この本を読み終わったとき、体が軽くなり、いつもより活気に満ちているはずだ。だから、ぜひ手に取ってみてほしい。本屋で探してみてほしい。

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