見出し画像

はじめての、異文化体験。

※10分間で書く、下書き・推敲なしのぶっつけ本番エッセイ。毎日更新47日目※

海外に住んでいると、「いつから海外に興味があったんですか」と聞かれることが多い。でもわたしが海外に興味をもったのは高2くらいのときで、お兄ちゃんが短期留学に行ったのがきっかけだった。

それまでわたしは家族で2度海外旅行しただけで、「海外」というものにまったく興味がなかったし、語学なんてただの受験科目っていう認識だった。

そんなわたしが改めて、「はじめての異文化体験ってなんだろう」と考えてみた。学校に来たアメリカ人の英語の先生はたいして関わってないし、横須賀には米軍基地があってアメリカの軍人さんも多いけど、やっぱり交流はなかったし……。

そうなるとやっぱりあれだ、「中国のぼったくりブレスレット事件」。

小学6年生の春休み、中学に入って忙しくなる前に、と家族みんなで中国に行った。そのとき中国の歴史なんてまったく知らなかったわたしは、紫禁城を「でけーな」くらいにしか思わず、天安門広場も「知らん人の肖像画が飾ってある」くらいの認識だった。もっと勉強してから行けばよかったと本当に後悔してるけど、まぁ小6だからね……。

そして北京の市場のようなところをとおりかかった。もしかしたらその次に行った上海かもしれない。市場だったのか、ただの露店だったのかも、よく覚えてない。なんせ15年も前の話なんだから。

とにかくわたしは、どこぞの野外のお店で、青いビーズが連なったブレスレットを見つけた。すごく長いブレスレットで、手首にまくと5連くらいにはなったと思う。じゃらじゃらするアクセサリーにはまっていたわたしはすぐに気に入って、お父さんのほうをちらりと見た。

お父さんは「いいぞ」と笑顔でうなずいてくれて、わたしも笑顔になった記憶がある。もしかしたらお父さんは「せっかくの海外だし」くらいは言ったかもしれない。

で、おばさんに「ハウマッチ?」と聞いてみると、ちょっと高かった。サン宝石で500円くらいのブレスレットに慣れ親しんでいたわたしからしたら、「これでこの値段ってどうなの?」と思うくらいの値段。

でも海外ってそういうものなのかもしれない。小学生の子がつけるブレスレットの相場なんて知らないお父さんは、慣れない手つきで元を払い、ブレスレットを買ってくれた。

その直後、おばさんはなんだか歓声をあげて、となりのお店の人たちと笑顔でなにか話している。なんかよくわからんけど楽しそうだな、さっきまですごい不機嫌だったのに、と首を傾げた。

あとから知ったことだけど、こういうお店では、値下げ交渉が一般的で、値札にはかなり割高な値段が書いてあるとのことだった。これは数年後に行ったタイでも同じで、「これも買うからちょっと負けて」「もうちょっと安くしてよ」と言うのが当然らしい(いまはどうか知らないけど)。

フリマにすらほとんど行ったことのないわたしは、「まじか!」とびっくりした。日常的に値下げ交渉とか面倒くさいじゃん、っていうか値札の意味は?とふしぎでしょうがなかった。なんでわざわざ値下げする前提で商売するの?と。

でもまぁ、中国はそういうものなんだ、日本とはちがうんだ、と納得した。というより、納得するしかなかった。だってわたしはヨソ者で、ここにはここのルールがあるんだから。あのおばさんもわたしたちに「値下げしないの?」なんて言う義務はないわけだし、「ぼったくり」と言うにはかわいい値段だったし。

たぶんこれが、わたしがはじめて体験した「日本の常識が通じない」という海外での異文化体験だったと思う。あ、でも無理やり金を払わされたわけじゃないから、「ぼったくり」とはちがうかな。

思えばそのときからすでに、「日本の常識が常に正しいわけじゃない」をけっこうあっさり受け入れていたのかもしれない。

ああ、ちょっと時間オーバーした。

じゃあ、またあしたね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?