2018年8月9日発売__8_

出版裏話3:うわぁ本っぽい!【日本人とドイツ人】

8月9日発売『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)の裏話の連載、第3話目です٩꒰。•◡•。꒱۶

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◆1話から読みたい方はこちらから⇒『出版裏話


※※※都内の一部書店では明日すでに並ぶそうです。著者の一時帰国が間に合ってないので、見つけたら『#日本人とドイツ人』でつぶやいてくれるとうれしいです※※※


なんかいろいろ気になるゥー!

そんなこんなで、コツコツと原稿執筆を進めていきます。毎日毎日、原稿原稿。そして実は、この本の原稿(土台)は、2017年の年内にすでにできあがっていたのです……!!8ヶ月も前にだよ!!

「できあがった」とは言っても、そのときは『章』のかたまりがある、いわば長い記事が手元にあるってだけで、まだ『本』って感じじゃありませんでした。それぞれの整合性とか順番とかは考えず、テーマについてわたしが書いていっただけなので。

一通り『章』を書き終わったのが、ちょうどクリスマス前。彼の実家に帰省するときも、原稿を印刷して持って行きました。

ちなみに、本編の1章で触れている『電車(新幹線)が2時間遅延する』という出来事はこの年、このタイミングで起きた話です。

それはさておき。

クリスマス休暇でのんびりしつつ、書き終えた『章』を通しで読んでみます。するといろいろ気づく点が!

最初の方に書いた文章と最後の方に書いた文章だと、明らかにノリがちがうんです。最初の方が固い。「あのエピソード入れるといいんじゃないかな」「ここにはデータがほしいな」とかも思ったりして……。

わたしは編集G氏の言うように、専門家や著名人ではない「いい意味の門外漢」なわけで、説教臭い硬い文章で求められていません。そういうのが読みたいのなら、それこそドイツの教育専門家が書いた本を読めばいいだけですから。

それでもやっぱり説明くさくなったり、論者気取りになっちゃったりしてるところもありました。「いろいろ伝えたい」「本ならしっかり書かないと」というのが空回りしてたんでしょうね。

……なんていうのを、『章』を読みながら感じました。

あぁ~~~変えたい!変えちゃいたい!!


『章』を手直ししまくる年末年始

というわけで、年末年始にガッツリと書き直しました。

あんまり覚えてないけど、半分以上手直しした章があった気がします。結婚の章だったかな……。

『欧米に「働き方改革」を学ばないほうがいいかも』の章に、『ドイツに残業がないという神話』『効率的に働くという幻想』という節を足したのも、たしかこのタイミングです。それまでは日独の働き方の仕組みに結構ページを割いていたのですが、わたしが書かなくていい仕組み部分は少なめにして、自分の体験談をメインにしました。

わたしは超絶アナログ人間なので、原稿は毎回印刷&手書きで修正しています。これは書籍だけでなく、寄稿記事もすべてです。書いて、印刷して、音読して、赤ペンで書き足して、それをPCで打ち直す。

さすがに本1冊手書きでいろいろ書き加えて打ち直すのは時間がかかったよ……。


構成を組んで『本』に進化

土台となる文章が完成すると、次はいよいよ構成です。『章』をどういう順番で並べるかってことですね。これは編集G氏に一旦お任せしました。

ここで見ましたよ、編集者の編集力!

編集G氏は、今まで完全にバラバラだったそれぞれの章たちを、見事にひとつにまとめてあげてくれたのです!!

並び方はもちろん、前後の繋がりがいいように多少調節してくれていて、元からそうなることを前提として書いてたかのような文章になりました。

必要性ないけどあえて例えるなら、3対のブルーアイズホワイトドラゴン(それぞれの章たち)が、融合のカード(編集G氏)によってアルティメットドラゴン(本)になる感じ!例えが悪いな!!

いやもう心の底から感動して、編集G氏には「すごいですね!」という浅い感想を送りました。編集長に「さすがですね」って言うのはなんか逆にアレかなと思ったら、「すごい」しか出てこなかったんだよ……。

ちなみにこの時点では、発売日は5月か6月あたりの予定でした。ただわたしが3月に引越す予定だったので、「可能なら後倒しで」とお願いしてたんです。どうせなら発売のタイミングで日本にいたいからね!(結局帰国間に合ってないけど)


構成が決まるまでのアレコレ

さてさて、『本』として通しで読んでみると、「こことここで言ってること被ってるから省いた方がいいな」とか、「考えてみるとこの話とこの話って関連してるからもうちょっと近いところにあった方がいいんじゃないかな」とかっていうアイディアが出てきます。

編集G氏も「これはこっちでもいいかもしれない」と提案してくれるので、ちょこちょこ相談してました。

ぼんやりとした記憶だけど、2章に入ってる『日本賞賛番組の信憑性』はもともとは3章の『日本は特別な国だと思うとけっこう危ない』に、2章の『ポップカルチャーの受け入れ』『日本好きオタクの実像』は1章の『日本人が勘違いしているドイツ』のほうに入ってた気がします。よりまとまりが出来るように、一部の節さんたちには引越してもらいました。

迷ったのが、9章(最終章)の締めの部分。『自己犠牲の功罪』『報恩精神』のどっちの節をもってくるのがいいかなー?って話になりまして。ぶっちゃけどっちでもいい気がしたけど、なんやかんやで『報恩精神』の節が最後になりました。


本を書いてる感が出てきたよ!

こうやっていじっている間にやっと、「わたしいま本書いてるゥー!!」という実感が湧いてきました。いままではただの長い記事書いてるだけって感じだったからね……。

この段階になると目次やページ数がつくので、ウェブ記事とはちがう『本』感が出てきます。ひゃっほう!

(ちなみにそれまでは章の名前も『労働』『日独比較』のようなざっくりしたもので、節にいたっては『○』という適当な記号で区切りをつけていたりもしました)

だいたいのページ数もわかってきたところで、それを踏まえて『まえがき』『あとがき』的なものを書きました。『まえがき』なのに執筆した後に書くんだなぁーとなんか妙な感慨を覚えた気がする。

『あとがき』はなくてもいいらしいのですが、わたしはどうしても書きたかったので、2ページもらいました。だって「みなさんの支えがあったからこそです」みたいなの書きたかったんだもん!! それっぽいことは全部やりたかったの!!


おまけ:こんなことも書いてました

ちなみに本書の第1章にあたる、『日本人が勘違いしているドイツ』は、実は1番最後に書いた章です。1番最後に書いた章が1番前に来るっておもしろいよねー。

この章では、ほかよりももっと気軽な日常の体験談、カルチャーショックみたいなものを書いています。だからページ数の都合ではしょった部分もありました。せっかく書いたので、ボツにした一部のっけときます

(採用するかわからなかったので、あんまり推敲してない文です。あしからず)

『 日本ではプレゼントはできるだけ丁寧に開けて包装用紙も畳んで持ち帰る人も多いだろうが、ドイツではプレゼントのラッピングはゴミという認識だ。最初はある程度丁寧にあけようとするが、結果的にビリビリ破いてゴミとして丸めて捨てる。それが失礼かと言えば、「ゴミはゴミでしょ?」で終わる。だからラッピングにこだわりすぎると、「ゴミになるのにもったいない」という発想になり、ラッピングは中身が見えないように紙を巻くくらいで済ませてしまう。
 デュッセルドルフに松竹という日本スーパーがある。オンラインで頼むと、これでもか!と梱包された醬油やみりんが届く。それを見るたびに、パートナーは「ゴミが増えるだけなのになんで?」と首をかしげている。
 男性にはピンとこないかもしれないが、日本の場合、コンビニで生理用品を買うと、わざわざ紙袋に入れて見えないようにしたうえでビニール袋に入れられる。これまたもったいない。わたしとしては生理用品はトイレットペーパーと同じ位置づけなので、別に隠すものでもないんじゃないか、と思う。』

なーんて感じ!

ちなみにケーキを買ったときも、箱には入れてくれず、紙皿にケーキを乗っけて薄っぺらい紙で覆って紙をセロテープで止めるっていう雑具合です。紙皿を手のひらの上に乗せるしか移動手段がないから、ふつうに温まります。ケーキにフィルムなんて気が利いたものもついてないので、味は融合します。あー本当にドイツ!!


次回予告:「校閲者は控えめに言って神」

さて、原稿を書き終わり、構成も終わった本書。次は日本語の正しさやファクトチェックをしてくれる校閲者のチェックです。どんな感じで原稿が返ってきたのかも見せちゃうよ! とくに需要がないボツった著者の写真もついでに載せとく!

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