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娘たちと「語り合えたら」 『鬼滅の刃』でガラリと変わったマンガ事情

「目が悪くなるかも」「マンガなんて読まずに勉強してほしい」「刺激が強すぎる」

保護者の立場から見たマンガは、子供へもたらすネガティブなイメージが語られがちです。筆者は、小学生時代に『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』などの数々の名作を禁止されて過ごしました。

筆者自身が子を持つ親となり、やはり気になるのは子どもとマンガの付き合い方。

小学生のお子様を持つご家庭は、どのようにしてマンガと付き合っているのか。「2020年は『鬼滅の刃』にハマった!」という田中家に、小学生を持つご家庭のリアルなマンガとの付き合い方を教えてもらいました。

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【田中さんご家族について】お父様・お母様(弥生さん)・小学6年生の長女(皐月ちゃん)・小学4年生の次女(メイちゃん)・5歳の長男の5人家族です。(お名前は仮名です)

今回は、筆者の友人でもある弥生さん、娘さんの皐月ちゃん・メイちゃんにインタビューにご協力いただきました。(インタビュアー:あまみん)

家族みんなで楽しんだ『鬼滅の刃』との出会い

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—私のマンガデビューは、小学1年生の時に読んだ『セーラームーン』だったけど、(『鬼滅の刃』以前に)娘さんたちが最初に読んでいた作品って覚えてる?

弥生さん:最初の頃は、雑誌の『ちゃお』を不定期で買ってたんだよね。ほしい付録があるときに買うって感じで。完璧に付録目当て!

皐月ちゃん:発表会のごほうびに、おじいちゃんたちに買ってもらったりしてたよね。

—なるほど、その頃は定期的に追いかけるような読み方はしてなかったんだ。その時はどんな作品が好きだったの?

弥生さん:『ブラックアリス』が好きだったみたい!でも、とぎれとぎれで読む感じだったから、ストーリーを追いかけて読み始めたのは『鬼滅の刃』(以下、『鬼滅』)が最初かも。

『ブラックアリス』不思議な国のアイテムで欲深い人間の運命を弄ぶアリス。アリスのアイテムで幸せになるか不幸になるかはその人次第。ちゃおで人気を博したダークファンタジーです。 

—田中家にはマンガを読んでるイメージがあんまりなくて、大人気の『鬼滅』と言えど家族で読むとは思わなかったんだよね。田中家に『鬼滅』がやってきたきっかけって何だった?

弥生さん:最初は、長女のお友達がアニメを教えてくれて。そこから、長女の誕生日(2月)に単行本を1巻から10巻まで一気に買ったのがきっかけだね。あっという間にハマって、毎回少しずつ買っていったかんじかな。

—1巻~10巻!キャラクターも増えてどんどん面白くなっていくところだもんね。家族の中では誰が一番『鬼滅』にハマってたの?

弥生さん:一番ハマってたのは長女(当時11歳)かな。次は次女(当時9歳)!マンガの絵を模写したりして楽しんでるよ。

長女の皐月さんは、筆者の自宅に来ていただく直前まで「伊黒小芭内」「甘露寺蜜璃」のイラストを書いていたんだとか。時間がなくて間に合わなかったーとのこと。

—アニメの影響が大きいと思うんだけど、『鬼滅』の過激なシーンを見せたくない!って感じる親御さんも多かったみたいなんだよね。田中家では『鬼滅』を読ませたくないな…と思ったことってある?

弥生さん:周りで流行っていたし、読ませたくない!とは思わなかったなぁ。

—鬼の首を切ったり、流血シーンがあったり、少し衝撃的だよね?子供に読んでもらうにあたって気をつけていたことはある?

弥生さん:たしかに刺激的だし、ちょっと怖いな…と思ったことはあったけど、特別に気をつけていたことはないかも。宿題が終わってから読もうね、ぐらい!(笑)

—宿題は大事だからね!(笑)読むマンガを制限されてた私からすると、すごく羨ましいよ。逆に、お母さん目線で『鬼滅』は素敵な作品だなぁと感じたところってある?

弥生さん:仲間や家族を思いやるシーンが多いところが魅力的!キャラクターたちの思いやりの気持ちがこちらにも伝わってくるところが、すごく素敵だなぁと思ったよ。

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『鬼滅の刃』4巻には、炭治郎が「命よりも大切」と言った禰󠄀豆子の入った箱を、善逸が体を張って守るシーンが。さらに全編を通して、亡くなった家族との温かい思い出が数多く語られる(その記憶を頼りに絶体絶命のピンチを乗り切ることも!)など、仲間や家族の絆を感じる場面が印象的。

マンガへのハードルを下げてくれたおうち時間

—ちなみに、『鬼滅』以前と以後で、マンガへの親しみ具合ってどんなふうに変わったのかな?

弥生さん:数字で表すとこんな感じで変わったよ!

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—ちょっと待って!子供たちもすごいけど、お母さんもすごい読むようになったね!?これは予想してなかった…。大学時代、ほとんどマンガ読んでるイメージなかったけど…。

筆者と弥生さんは同じキャンパスで大学時代を過ごした同級生です。学生時代は、前のめりでマンガを読む筆者を温かく(?)見守ってくれていたイメージでしたが…。

弥生さん:わたしは本を読むことが苦手で、マンガを読むことさえ苦手で遅かったの。さらに、出産して育児してたらマンガを読む時間なんてとれなくて。

—わかるよ!子育てしてると、何かに集中することができなくて、全然読めないよね。

弥生さん:だけど、外出自粛が続いたことでおうち時間が増えて、家でマンガを読む時間がたくさんあったから読むようになったのかも!マンガを楽しむのには時間と心の余裕がないと難しくて…。

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貴重すぎる弥生さんのマンガ読み姿。

—確かに、田中家に『鬼滅』がやってきたのは、外出自粛が広がってきて、学校も休みになったりして在宅が増えたころだよね。


弥生さん:このタイミングで、みんなで読めるマンガあってほんとによかったよ!家族みんながマンガを読むようになったきっかけは、やっぱりおうち時間が増えたことが大きいね。

新型コロナの流行・自粛前後で増えた自宅のエンターテイメントについて約4000人に調査を行なったところ、本・マンガなどの読書は全体の1割超が「コロナ後に増えた」または「初めてした」と回答したというデータもある。まさに田中家の動向も全体の流れと合致している。(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000288.000043465.html)

皐月ちゃん:お母さんは、夜寝るときにスマホでもマンガ読んでるよね!

—しっかり見られてる…(笑) お父さんはもともとマンガ大好きみたいだけど、『鬼滅』の波には乗ってくれたの?

めいちゃん:硬派なマンガがすきなお父さんも、『鬼滅』読んでくれた!

—まさに家族みんなの話題の中心だったんだね。『鬼滅』以降で、みんなが好きなマンガはあるの?

弥生さん:『約束のネバーランド』が大好きだよね。ちょっと怖いところもあるけど、めちゃくちゃ面白い!

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『約束のネバーランド』は2020年に全20巻で完結した超人気作品。英才教育を施された超優秀な頭脳を持つ子供たちは、鬼に献上される出荷物だった!?難解なストーリーと頭脳戦が見どころのダークファンタジー。

皐月ちゃん:ここが好きなの。6巻でギルダの口調が変わるところ!

めいちゃん:「具合が悪なったら早よ言わんかい」ってエマを責めるところ。普段は静かなのに面白いよね。

—このシーン、キャラクター同士の関係性がよくわかって面白いね。本筋とは違うちょっとしたエピソードを教えてくれるところに、2人のほんとに好き度が伝わってくる…!

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弥生さん:他には『ONE PIECE』・『名探偵コナン』を引越する親戚からもらってきて、今おうちにほとんど揃ってるよ!

成長していく娘たちと「語り合えたら」


—『ONE PIECE』と『コナン』が加わったなら、相当冊数が増えてない?これからどんどんマンガが増えていくと思うけど、どうやって管理していく?

弥生さん:たしかに、マンガがどんどん増えて収納に困ってるの。このまま増えていったらほんとどうしよう!

—マンガも増えていくけど、学年があがると興味がわく作品の種類も増えるんじゃないかと思うんだ。ちょっと早いかな?って思う作品に出会ったり。お母さんとして心配することはある?

弥生さん:心配することは…ないかな?今も、夫の持ってるマンガはそのまま本棚に置いてるよ。学年があがると親子の会話も少なくなるかもしれないけど、家族で一緒のマンガを読んで、それで会話が弾んだら嬉しいな!


鬼滅の刃、約束のネバーランドなど、仲間との絆を強く感じる作品に惹かれている田中さんご家族。衝撃的なシーンもある両作品ですが、他者への優しさと思いやりに溢れた世界観が家族で楽しめる要因のようです。また、娘さんたちと同じ作品を楽しんでいる姿も印象的でした。

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インタビュー中も、好きなシーンを和気あいあいと語りあうなど、娘さんたちはお母さんも一緒に読んでくれていることが嬉しい様子。


マンガをコミュニケーションのポジティブなツールとして捉えられていて、学年があがってもご家族で楽しく団らんされている姿が想像できます。
これからも、マンガとの前向きなお付き合いを通じて、仲の良い田中さんご一家でいてください!

 

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