♯21 心理的安全性を高める
21回目の投稿となりました、天治郎です。本稿の要旨は、以下の通りです。
子どもたちの資質・能力の向上のため、まずは「心理的安全性」を高めていきましょう。「心理的安全性」を高めるために重要な因子(要素)である「話しやすさ」、「助け合い」、「挑戦」、「新奇歓迎」の4つを意識してみましょう。
(1)心理的安全性とは
どこの学校・学級でも、「発表や対話がしやすい学級の雰囲気作りの大切さ」について話題が挙がることでしょう。私が勤務する学校の一昨年度及び昨年度の研修の成果と反省の中にも同様の記述がありました。
ところで、「発表や対話がしやすい学級の雰囲気」ってどんな雰囲気でしょうか?先生方は、自分の言葉で言語化できそうですか?私は、「心理的安全性の高い状況」だと考えます。
「心理的安全性」とは、エドモンソン(1999)によれば、
と定義されています。近年、経営学の世界でこの概念が注目されており、教育現場でも聞かれるようになったわけです。
そして、株式会社ZENTechシニアコンサルタントである原田将嗣氏は、
と、述べられています。仲がいいということが、最上位の要素にくるわけではありません。
(2)心理的安全性の構成要素
他方、子どもたちの資質・能力の向上のために、各学校で「主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善」を行っていることでしょう。しかしながら、一般的には「他者の目を気にして自分の思いを十分に語り切れていない子どもの実態」も指摘されているところです。この課題の原因として、個人が感じる集団への安心感、信頼感の醸成が不十分であることも指摘されています。一人ひとりの子どもが、集団からの同調圧力等から解放された「心理的安全性」の高い集団づくりが求められるわけです。
では、「心理的安全性」は、どのような構成要素によってつくられているのでしょうか?原田将嗣氏は、「心理的安全性」を高めるために重要な因子(要素)は、
の4つであると述べています。共感できる先生方も多いことでしょう。私は、特に「挑戦」が重要な要素だと考えています。原田将嗣氏は「挑戦」について、
と述べています。私も含めて教師の多くは、「挑戦」を勧めたり称賛したりしているでしょう。一方で、「挑戦する」という文化が根付くにはかなりの時間がかかります。「なかなか発表しない」、「話合いが途切れてしまう」、「ノートに書かない」などと言った悩みは、どこの学級にもあることだと思います。これを子どもの特性や問題にしてしまいがちですが、「教室の環境や空気感は大丈夫か?教師の働きかけは子どもに響いているか?」と問い直すことも大事ではないでしょうか?
(3)心理的安全性をつくる言葉
原田将嗣氏は、著書の中で「心理的安全性をつくる55の言葉」を提案されています。「きっかけ言葉(相手の行動を促すもの)」と「おかえし言葉(相手の行動や結果を受けとめるためのもの)」の2つに分類されており、これらは学級経営においてもかなり有効だと私は考えます。今回は、「挑戦」の因子に関わる言葉をいくつか紹介します。
似たような言葉を使っている先生方もいらっしゃるのではないでしょうか?私が心理的安全性を高めるために使っている言葉も、いくつか紹介します!
ありがとう、嬉しいなあ。
あなたがいてくれてよかった!
本当にいつも誰かのために動いていて、素敵だなあ。
もうちょっと教えてくれる?
間違えていいんだよ!天才のエジソンだって2万回間違えたんだから!
意見の自信度に合わせて、挙手の仕方を変えてごらん。
みなさんは、どんな言葉を使っていますか??
(3)終わりに
「心理的安全性」について、少し理解が深まったでしょうか?この概念は、新しい概念ではなく、昔から学校教育で大切にされてきた概念でもあると思います。子どもたちの資質・能力の向上のため、学級の「心理的安全性」を高めていきましょう。
一方で、これは職員室にも当てはまる概念です。職員室での「心理的安全性」も高めていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。御意見等お待ちしております。
【引用・参考文献】
Edmondson.A (1999).Psychological safety and learning behavior in work teams Administrative Science Quaterly 44(2) pp.350-383
原田将嗣(2022).心理的安全性をつくる言葉55.飛鳥新社.
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