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「10年後の仕事図鑑」に感じた一番大きなメッセージ

落合陽一さん・堀江貴文さん「10年後の仕事図鑑 新たに始まる世界で、君はどう生きるか?」

この本は落合さんと堀江さんが対談しながら制作されたもの。読んでみると往復書簡のような間があって味わい深い。

あらゆるものに市場原理が働き、働き方が最適化される時代にいったんどんな仕事が生き残るのだろうか。

堀江さんの経営者としての視点と、落合さんのAIを作る側の視点から、これから「なくなる仕事」と「減る仕事」が具体的に紹介される。
また逆に「生まれる仕事」と「伸びる仕事」も紹介されている。
けれど、ここで紹介される「なくなる」可能性なんてものは血液型占い程度の信憑性しかないと堀江さんは考えている。あくまで参考程度。

本質的に重要なのは「価値ある仕事」に就くのではなく「価値ある仕事」を創出する主体性だ。

これが本書の一番大きなメッセージなのだと思う。
具体的で細かな分析は本書を読んでいただくとして、ここではこの本に通底するメッセージを引用させていただきたい。

社会が変わっていこうとするとき

社会のあり方が変わるのであれば、"普通"を定義し直すといい。「普通ってなに?」という問いを常に持っていなければならない。

なんらかの凝り固まった価値基準に支配されることなく時代とともに走る感覚を身につけるべきだ。そのなかで美学を熟成させるといい。

仕事が機械に代替される時代

不当に給料が高い仕事は機械に代替されるし、逆に低コストな仕事も代えられてしまう。
複雑性の高い職業を掛け持ちしてある人材は、機械に変えるのが非常に面倒なため有利だそう。

収入を得るパスが1つではなくなり、個人を運用する時代になっていく。
「今の仕事があるからいい」というのではなく、実際にそこで得たことをどう運用していくか、どう運用するとより「お金になるのか」といったことも意識するといいだろうと落合さんは勧める。
持っている価値をどのように形にするのかその運用方法を考えることが重要になってくる。

機械ができることは機械に任せ、人間だからこそ発揮できる価値をわらしべ長者的に積み重ねていこう。

体験を重ね、自分の価値資本を貯める

好きなことをやって、その体験を価値に変えていこう。その考え方はアーティスト的だ。

実経験をベースに話せる人は強い。自分の生き方、自分がやってきたこと、今やっていることの全てがつながっている人は、自分でもその生き方を楽しめる。そこでフォロワーを惹きつける美学が作れるかどうか。

好きなことに手を出している間に自分の中に価値資本が貯まっていく。技術不足はテクノロジーが補ってくれるから、すでにプロレベルのスキルを持つ必要もない。自分の好きなことを探して、今までにはない組み合わせと掛け合わせて、自分なりにの新しい分野を作っていって欲しい。

能力差=経験者といった構図が生まれるのではないだろうか。「何を経験したか」で差分が生まれるのだから、「何をやりたいか」と言うモチベーションの有無が人間の価値を左右する変数になる。

人間だからこその役割

モチベーションを持って働けるところに人間の役割があり、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったモチベーションは常に人間の側にある。
その達成にコンピューティングがあると考えていれば、未来を悲観せず、今からAIを使いこなす人間へとマインドセットが切り替わるだろう。

モチベーションを価値に落とし込むのに重要なのは「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界70億人を相手にすること」「経済感覚」「世界は人間が回していると言う意識」そして「専門性」だ。専門性はどんな小さな事でも良い。「自分にしかできない事」は他人から必要とされるのに十分な理由になる。

21世紀はワークアズライフの時代

「ワークライフバランス」と言う言葉は崩壊した。もはやワークとライフの関係性は完全にバランスではなくなった。これからは差別化した人生価値を仕事と仕事以外の両方で生み出し続ける「ワークアズライフ」を体現するものだけが生き残れる時代になるだろう

あなたが問うべき対象は未来ではなく他でもない、「自分」だ。

以上、「10年後の仕事図鑑」の印象的なメッセージを中心に紹介させていただきました。

これから先、AIの代替により仕事はどの様に変化していくのか、子どもを持つ親としてもとても興味深いです。
大学を出て、大企業に就職するというステレオタイプが無効化され、「仕事」「お金」の本質とこれまでの「普通」を問い直してみることが今一度必要なのでしょう。
人間の生み出せる価値とは何か。これから生きていくうえで、機械にはない「モチベーション」の意義が高まる様に思います。

この本は変わりゆく社会の全貌を明らかにするものでありながら、普遍的な問いかけが常に根底に流れているところにとても魅力を感じました。



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