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「 ITビジネスの原理」というタイトルが連想させるもの

尾原和啓さん「 ITビジネスの原理」

「 ITビジネスの原理」というタイトルは、「ネットビジネスに関わる人に向けた本」という連想させるかもしれません。

けれど、実際の内容は尾原さんのインターネットにかける希望、「ITは人間を解放し成長させ豊かにする!」という想いの込もったハートフルな本。

この20年間のITの変化についての語りも尾原さんの経歴ならではの現場感がある。
なのでその手触り感のあるタイトルをほかに考えてみようかなぁなんて思ったり。

■プラットフォーム屋が見たITビジネスのしくみ
■Googleを止めてなぜ楽天へ
■インターネット以前のビジネス/インターネットのビジネス
■インターネットの第二のカーブを曲がるとき
■ITが当たり前の時代に自由に生きていくための技術
■ハイコンテクストなインターネット‥モノを売るか物語を売るか
■ハイコンテクストな「日本的なもの」とインターネットの希望

‥考えてみたけれど、何も伝わる気がしない。

「ITビジネスの原理」とされているものを少しピックアップさせていただきます。

商売の基本は価値交換である。インターネットにより場所による価値の違いをお金に変えるというビジネスモデルが成立しにくくなった。商品の価値が「モノ」から「情報」に置き換わることでビジネスとして成立するようになる。
モノを安く仕入れて高く売るビジネスから、ユーザを安く仕入れて高く売るビジネスへ。
世界中に散在しているユーザを1カ所に集めて、そのユーザをお金を出しても欲しいと思っている企業や人と結びつけるマッチングするのがインターネットビジネス。
ITビジネスはあまりの進化の速さから、一時的に過剰なやり方が生まれてしまうことがある。
けれど、速いフィードバックや改善のサイクルを生かして持続可能なビジネスへ進化させ発展させていくことができる、
 クラウドソーシングなどのように、ITやインターネットは仕事を細切れにすることで価値を生み出すだけではなく、その細切れを集めることによって新しい価値を生み出し、普段使われていない部分を有効活用することができる。
インフォメーションコンテンツよりもコミニケーションコンテンツの方がお金になる。少なくとも日本ではそうなった。
ハイコンテクストはこれからのインターネット、ITビジネスを考える上で最も重要なキーワードである、というのが私の見解。
モノを買うというのはただ品物を買っているだけではなくて、その商品にまつわる物語を買っていたり、売っている人との関係性を買っていたりする。
その関係性を手に入れたとき、人はもっと幸せになれるし、インターネットはそれを実現できる力を持ったツールであるはずだ。
日本はコミニケーション消費、ハイコンテクストによる余白・余剰生産の先進国。
それらは楽天やニコニコ動画といったネット上のサービスだけではなく、茶道・ダイソーといった生活の中にたくさん眠っている。
こうしたものが多言語・非言語の時代に世界に羽ばたいていくこと。仕掛ける側の皆さんが次の世代をリードしていかれるよう期待しています。

尾原さんの語りは人類学者やフィールドワーカーのような魅力があるなぁと感じます。

様々なフィールドを行き来し、細やかな視点で違いを理解することを楽しみ、会話の価値を重視し、すべてを自らの語りに落とし込んでいく‥‥。

その語りに触れると、砂漠のような私自身の無知に知恵の泉がコンコンと湧き出てくるような心地がします。

ちなみにこの本は、宇野常寛さんをはじめ様々な方との会話から生まれたそうです。

宇野さんの「遅いインターネット」も是非読みたいです。(序章と第1章、今も無料公開中のようです!)







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