何者でもない状態って怖いけど、だからこそ自分と向き合えてるんだよなぁ
私、何者でもなくなって2年半以上経ちました。
ここでいう“何者”とは、
・〇年〇組の自分
・〇〇部の自分
・〇〇大学に通っている自分
・〇〇会社勤務の自分
・〇〇の仕事をしている自分
といった、所属や肩書きのことを指します。
物心ついたときには幼稚園に通っていて、小中学校は地元の公立校。“そういうもん”と思って、なにも考えず通っていました。
高校と大学は自分で「ここに行きたい!」と思い受験しましたが、それだって“そういうもん”の大枠の中から選んだに過ぎません。
就職だって、どの企業に入るかという視点しかなく、内定をもらうことで得られる安心感は、自分が何者であるかを証明するための肩書きを得られた安心感だったのかも、と今では思います。
王道のルートを歩いているときは「自分がどこのだれか」なんて気にならず、ただ当たり前に過ごしていました。
でも、入社3か月で精神的に働けなくなり無職になった私は、突然肩書きを失いました。
はじめこそ病気だから仕方がないと思えていましたが、アルバイトも怖くてできないまま月日だけが経ち、どんどん苦しくなりました。
「自分は一体何者なんだろう?」という疑問が、毎日のように頭に浮かぶ時期もありました。
職業欄の無職にチェックを入れる瞬間の虚しさや、同級生からの「今なにしてるの?」という何気ない問いにすらすら答えられないもどかしさをたくさん感じてきました。
説明しやすい肩書きがないって、こんなにも生きづらいのか…そんなことを知りました。
ですが、最近ようやく、この気持ちを味わえてよかったかもと思えるようになりました。
なぜかというと、何者でもない状態を経験するのって簡単じゃないことに気づいたからです。
仮に私が働き続けていたら、勤め先や働き方こそ変わるとしても、次の肩書きに変える感覚だと思います。
やむを得ない場合ではなく自分の意思で一旦手放してみるなんて、歳を重ねるほど難しくなるんじゃないかなって。
そして、何者でもない時間を、誰もが気軽にとれたらいいんじゃないか、と思うようになりました。
学生時代をモラトリアム(猶予期間)と言うようですが、なんだかんだ目の前の単位をとることやアルバイトに追われ、就活も急かされるままなんとなく…ゆっくり自分と向き合うことなく、なだれ込むように社会人になりました。
いざ社会に出て、ようやくわかることがたくさんある。学生のうちに見えていた選択肢なんて、とても狭い世界のものでした。
モラトリアムについて調べる中で、一生モラトリアムという考え方に触れました。「安易に一人前状態を目指すのではなく、半人前の人生を常にアップデートし続け、それを楽しめる」状態がこれからは望ましいのではないか、というような内容です。
その記事の中でも、北欧と比較して、このように表現されていました。
社会人になってからも、いつだって立ち止まり、自分と向き合う時間がとれたら、少しくらい休める社会だったら、心の病気になって苦しむ人が減るんじゃないかなと、そんなことを考えました。
余談ですが、最近結婚したり子育てをしている同級生が増えてきて。
少し前まで、私は「この歳でどうして結婚できるんだろう?怖くないのかな」などと感じていました。自分ひとりの人生もままならない私にとって、さらに誰かと人生を共にするなんて、とてもハードルの高いことに思えます。
でも、Instagramで流れてくる赤ちゃんの写真を見て、ふと「羨ましいな」と感じる自分に気が付きました。
なにが羨ましいのかというと、赤ちゃんはその人にとって、「自分が何者であるか」を感じさせてくれる存在だと思うからです。
日々たくさんの情報を浴び、時間に追われて生きていると、ふと「自分ってなんのために生きてるんだっけ」とわからなくなる瞬間があると思います。
そんな中で新しい家族をつくり、小さな命を育てるという行為は、その不安から解放されるための選択でもあるのかな、と思いました。
もちろんその理由だけで結婚しているわけではないと思いますが、人生における大きな決断の背景には、そんな理由も潜んでいるのかもしれません。
何者でもない今の私にとって、パートナーや子どものために生きる同級生はとても眩しく見えます。
でも一方で、私が自分自身と向き合っているこの時間も、決して無駄ではないと思っています。
親や先生、社会を基準に生きてきた私が、一度立ち止まり、自分の意思で考え選択できるようになることは、この先の人生において、とても大事なことだと思います。
なので、何者でもない状態に焦らず、むしろ存分に過ごそう。今はそんなふうに思えています。
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