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イタリアの和食事情

イタリアからBuonasera!
アマイヤは大の食いしん坊で、NOTEで読む記事の大半は料理ブログだったりする。それを読んでいたら、イタリアのご近所さんのフランスやドイツでは、イタリアに比べると和食ライフがかなり充実しているみたいだ。
ということで、今日はイタリアの和食事情について書いてみようかなと思う。

1.イタリア人のイタリア料理への想いはやっぱり熱かった

これは他のヨーロッパ諸国に比べて際立つ特徴だろう。フランスも確かに自国の料理を誇りに感じていることはあるものの、ベトナムや南アフリカに植民地を持っていたこともあって、食に関して許容範囲が広いと思う。
なんていうか、いいものがあればどんどん取り入れてみよう、的な好奇心が感じられる。

それに比べるとイタリアは、自国の料理に対する思い入れがかなり強い。
更に言うなら、出身地の郷土料理についてはもっと強い。
ローマ人なら、ローマ料理、シチリア人ならシチリア料理、と言ったように各地域の料理の違いをとても誇りに思っているし、レシピについても忠実であるべきだと考える人が多い。

なので、郷土料理が一番、イタリア料理が二番、ときて、一般的に外国料理の立ち位置はとても低くなっている。

街によくある外国料理といえば、ケバブか中華が多く、値段が安い。このせいか、イタリア人の頭には「外国料理=安い」的な方程式が成り立っているのではないかと思う。おそらくイタリア人は高いお金を出してまで外国料理を食べたくないんだろうなと察している。

その中で、和食に関しては、若干趣きが異なる。

近年の和食ブームで和食はおしゃれ、なる概念が育まれているようだ。タタキ、テンプラ、などの言葉はイタリア料理のお店でも新種の料理法として取り入れられている。
これは日本人としては嬉しいのだけれど、エセ和食レストランが発生する根源の一つともなっている。

昨日まで中華料理の看板を出していたところが、今日から寿司バーになっていたりする。そしてその前を通ると、すっごく揚げ物の匂いがして、メニューを見ると、握りなどに並んで、春巻きなどの中華料理の品々が並ぶ。おいおい。

なので、せっかく和食のレストランが出来ても、おおよそ行く気にはならない。

2.和食を自宅で作る

イタリアに来て最初に探し始めたものは、やはり和食の食材だった。和食を中心にした食事を小さい頃からしてきたアマイヤにとって、日本食の食材を現地調達できるかは死活問題だったからだ。

まず、近くのスーパーに向かう。

スーパーには大体小さな異国食材コーナーが設置されていて、醤油やらカップラーメンが並ぶ。でもいわゆる生鮮食品(野菜や果物、豆腐)は置いていない。たまにセイタンとかいうベジタリアンが食べるタンパク質の塊みたいな豆腐が売っているけれど、アマイヤには豆腐に見えないので、未だ買ったことはない。

そう、ここで売っている和食食材は、外国メーカーが作っているものなので、あまり信用できない。

と言うことで、スーパーは間に合わせ程度の買い物しかできないと思っていただいて結構だろう。

なので、もっぱらアマイヤが食材を調達するのは中華系スーパーだ。
これは駅近くの新市街というか、移民が多く住む地域にあって、いつもアフリカ系やインド系の人が多く集まる。
このスーパーは入るとまずアジア系の香りというと失礼だろうか、、、でも、あまり清潔そうじゃない香りが漂う。
入り口近くにはライム、アボガド、腐りかけのバナナ、パクチーなど生鮮食品が並ぶ。
そして奥の戸棚はそれぞれの地域ごとに食材が並ぶ。因みに和食のコーナーは一番奥の方だ。それから、韓国、中国、タイ、ベトナムと陳列されている。結構好きなのはインド系。スパイスがたくさん並んでいるのでワクワクしてしまう。

それで和食の棚についてなんだけれど、一応うどんやら蕎麦の乾麺がある。でもね、これも注意して買わないと中国製だったり韓国製だったりする。パッケージはひらがなやカタカナを駆使して書かれているので、一見するとわからない。でも、製造元のところを注視してみると日本人ならそれがどこの国で作られたものかすぐにわかる。なので、商品は信頼できそうなものをよくよく選んで買おう。

あと、あまりないのが、出汁のための昆布や鰹節、味醂や料理酒。これらは和食の味を決めるものだけれど、なかったりする。ミラノやローマなどの大都市ではあるみたいだけど。(インターネットでイタリア内からお取り寄せの場合、送料が千円程度かかる)

イタリア移住予定者向け イタリアに持ってくると重宝する食材リスト
①出汁(顆粒だっていいかもしれない)
②味醂 
③ご飯のお供(ふりかけとか佃煮) 
④できれば料理酒(白ワインで代用可能だけど、酸味が出るので、料理酒で作った時のようなふくよかな味わいにならないこともあるので)
⑤ニガリ
意外とこっちで手に入るもの;
胡麻、ごま油、ネリゴマ、海苔、わさび(チューブ)、生姜、きな粉、春雨、味噌

3.「ないものは作る」の精神を育む

中華系スーパーでは確かに、和食の食材はあるけれど、いわゆる豆腐や納豆などは見つからない。
いや、豆腐はあることはある。
但し、賞味期限が数ヶ月先だったり、紙パックに入って常温保存されたいるものだと、この豆腐に一体どれだけの保存料が入っているんだろうかと訝ってしまう。正直、和食に飢えていてもこんなものを食べるのは怖い。

あぁ、日本の、特に京都の美味しい豆腐が食べたい!!

とはいえ、ないものはない。

そうすると、ないものはなんとかして作ってみようという発想になってくる。海外在住者なら、経験はあると思う。

これはこれで結構面白い。いろいろな食材が、どのような工程で作られているのかを調べ始め、どの機材で実現可能かを探る。

因みに、アマイヤは今、納豆と豆腐の試作を繰り返しているところだ。
納豆に関しては、茹で方や発酵温度で糸の引き方が変わってくるみたいだ。今のところ、糸は引くものの、混ぜた時、泡立つほどの糸は引かないという、ちょっと中途半端な納豆しかできていない。
豆腐は木綿のざらっとしたやつで、食感がまだまだ改善の余地がある。

でも、こうやって失敗をしながら学ぶということを繰り返し、できるためにまた更なる創意工夫を加えていくと、お料理も毎日の義務からクリエイティブな活動へと変わる。

ということで、まとめ。

イタリアは近隣諸国に比べて、和食事情は発展途上。
なので、イタリアに来る予定の人は、ある程度それを覚悟しつつ、
料理を創作活動として楽しんでください。

Ciao!

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