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【詩】ダサいポップソング(「文芸思潮」現代詩賞 受賞作品)

先に天国で待ってるぜ
そう言って青春は
少しずつ死んでった

ダサいコード進行にも飽きてきた
あんなこと言わなければ
きみはまだ生きていたのかもな

なんて暗さなんだ 初めての夜
きみなしの畦道は
軋む自転車の音を響かせる

ひとりぽっちで何ができるの?
何もできないよ
悲しみさえまばらさ

泣くことくらいはできるかな
できないや 涙は
とうとうと流れているけど

泣くことさえ一人じゃできないよ
涙が光るのは
きみがいてくれたからなんだな

(初出:「文芸思潮」第67号)


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