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「場づくり」ってなんだろう?~場づくり勉強会①~

こんにちは、インターン生の和田です。

10月28日に第1回『場づくり勉強会』が開かれました。今回はそのイベントレポートです。

場づくり勉強会は「生き方見本市、ミーツザ福祉、カリー寺」等々の大きなイベントから会議や組織など様々な場をつくっている尼崎ENGAWA化計画の代表である藤本遼さんから「場づくり」を学ぶ勉強会です。

■そもそも「場」って何?

「場づくり」という言葉は「場」と「つくる」から出来ているけど、そもそも「場」ってなんだろう?

まずは、それぞれが捉える「場」について共有していきました。
その中では様々な意見が出てきました。人が集まってできていく空間、人が関わりつながりが生まれるもの、人が集う目的ならば人がいてもいなくても場…

全員で話し終えた後、藤本さんから「場」について話していただきました。

場とは…
関係性や相互作用のあるもの。
2つ以上のものが相互的に関係していること。
「場」に関連する言葉を英語にすると…
①PLACE 空間 ハード 建物・敷地・広場
②SPACE 場  ソフト 心理的・感覚的・居場所

人によって「場」の捉え方が違う可能性があるから確認する必要がある。

「場」とは相互作用のあるものだと言ったが、お互いがお互いを認知していれば、常にコミュニケーションをする必要はないのでは。と、藤本さんは語ります。

■「場」のあり方は?

「場」とは何か踏まえた後で、「場」にはどのような形があるのか、「場」ではないものは何なのか、語ってくれました。

講演会などで一方的に誰かが話し続けるものがある。
これらは、一見「場」のように見えるが、「場」とは言えないのではないか。聞く側からすると知らないことを知れて学びになるという変化があるかもしれない。しかし、相互的なコミュニケーションが無ければ、話す人は準備したものを話すだけで新しい発見や視点を得ることは難しい。そこには、変化は生まれない。

対話やワークショップを通して、双方的なコミュニケーションが生まれ、変化がもたらされるものこそが「場」である。これらは、反応や作用・そこから生まれる関係性を築いていくものだから、想定外のことへの対応をする難しさもある。

■場をつくることは可能か?

「場」について踏まえた上で、次は「つくる」ということについて語ってくれました。

これらのことを踏まえると、「場」をつくるということは難しいと考えられる。「場」とは相互に作用することによってできるもので、自分の思い通りにつくることができていたとしても、それは自分の思い込みやイメージを押しつけているだけかもしれない。

藤本さんは、本質的に「場」をつくることはできないのではないかと思いながら作っているそうです。それでも、「場」を「整える」「しつらえる」「醸す」ことは可能なのでは…?と言われていました。

「場」をつくるに当たっては、関係性が生まれ、作用していくような働きかけや準備を行う。場をつくる装置として「問いかけ」を用い、それをきかっけに話し、気付きや発見があるものに。ということを意識されているようです。

■具体的な事例の紹介を元に「場づくり」のポイント

先程は「場づくり」について藤本さんがどのように認識しているか教えていただきました。
それを元に、藤本さんが「場づくり」をするに当たって、大事だと思ったことを事例を踏まえながら語ってくれました。順に紹介していきます。


【ポイント1:余白を残す/余白のデザイン】

*事例1 amareをオープンしたとき

[amare:塚口さんさんタウンの一角を借りて、みんなでリノベーションして作られたコミュニティースペース。]

その頃はまだ場づくりを意識していなかった。主催者側から指示をあまり出さずになんとなく出来上がった場所。
計画を伝えるとやってくれる人はいる。でもそこに余白を残すことによって、参加者や関係者は自分の表現ができ、一方的ではないからこそ生まれるコミュニケーションがある。そこでは「空間」をつくると同時に「場」をつくることができている。
関わることで愛着が深まり、主体的に「場」に関わってもらえる可能性が高まる。


【ポイント2:参加者に委ねる/運営との垣根をなくす】

提供する側・される側をつくらない どれだけにじませるか。

*事例2 おふろバー

〔おふろバー:まちの銭湯でお酒を飲む。不定期開催で16回目が以前行われた。〕
銭湯でお酒を飲むこと以外は何も決まっていないイベント。コミュニケーションを強制することもなく、それぞれが表現者で関わってもいいし関わらなくてもいい。その自由さの中で面白い何かが生まれていく。

*事例3 カリー寺

〔カリー寺:お寺でカレーを食べる。全国のお寺でレトルトカレーを食べる「レトルトカリー寺」も開催〕
主催者やメンバーが肩書などを取っ払ってフラットになりながら進めることで、参加者との垣根もあいまいになり、ともにつくる空気感を醸成することができる。
このような関係性の中でコミュニケーションが生まれ、お掃除をする会・江戸伝統文化を見直す街づくり会・子どもたちがお寺に泊まりに来る会など、様々な企画が生まれた。
コミュニケーションが生まれる余地・余白を作っているからこそ、広がっていく。

プログラムやサービスを作ることで、提供する側とされる側という関係性が生まれてしまう。でも、プログラムがないと遊べないから準備も大事。がちがちなプログラムにせず、コミュニケーションが生まれる余地や余白を残しておく。
場と余白は切り離すことのできないもの。


【ポイント3:一番大事なのは信頼すること】

その人の中にある主体性や可能性をどれだけ信じられるかが重要。どんな返答が返ってきても答える・反応するよという安心感をどれだけ出すことができるか。一方的にしゃべり続けることは、相手を信頼していない証明であり、相手も関わりたいと思うことはないのではないか。


【ポイント4:初めて来る人をどれだけ大事にするか】

常連の方も重要。でも初めて来る人の方がより重要なのでは?
その人は勇気を持ってきているかもしれない。身内感・内輪感が滞っていると最悪。望ましいのは常連の方がコーディネーターとなって新しい方を案内してくれること。


【ポイント5:自分がつくりたい「場」なのか見極める】

誰かのための場であってもいい。しかし、関わる意味や目的がある程度はっきりしていることが望ましい。自分なりの意味を紡ぎだすことが重要。

*事例4 あままままるしぇ

〔あままままるしぇ:「あま」がさきの「まま」による「まるしぇ」イベント。ママたちが出店者となり、手作りのアクセサリーや小物の販売、ワークショップを行う。〕
いいものを作っている女性がいた。人に見てもらえる場を作りたいと思った。それは彼女のためかと考えると、自分を表現できていなかった昔の自分自身と重なったから。相手のためでもあるが、自分のやりたいことでもある。


【ポイント6:俯瞰して眺める(全体の温度感を見る)】

「場」にどんな思いで来ているか俯瞰して見てみることは重要。交流のある場だと「本当はこの会話から離れたいのではないか」ということに気付けるように見る。全体を見ようとする気持ち、引いた眼差しと深めていく眼差しの両方が大切。


【ポイント7:しっかり聞く/きちんと話す】

よく聞かなかった、きちんと伝えなかったことが原因で失敗したことがある。

*事例5 失敗したプロジェクト
テキストや電話だけで、直接のコミュニケーションをおろそかにしていた。想いがうまく伝わらないと離れていってしまう。伝え合い、問いていくことが大事。

*事例6 炎上した事案に呼ばれて行ったとき。
内容は淡路島に発電施設を作ること。行政が住民に説明しながら進めていたけど新住民が批判し、何の意味があるのかとみんなが怒っている状況。
怒りの感情を発散させようと計画を捨て、怒りや悲しみを出す時間にした。怒っていた人も自分の想いを聞いてもらうことで落ち着いた。
怒りの感情もきちんと出し合うことで、受け止めた時に見えるものがあり、可能性が広がっていくのでは。


■居心地のいい「場」は麻薬になる

「場」は、居心地や心地よさが大事だと思われていますが、それが原因で起こる問題もあります。心地よさと排他感は表裏一体である。「場」では「排除」が起こり「腐敗」が進む可能性が常にある。

【対策1:常に新しさを入れていく。かき混ぜる。】
【対策2:同じ人であっても常に新しい面を見られるようにする。】
依存すればするほど、「場」は人を排除する。
【対策3:「場」に来ている人に新しい「場」をつなげる。別の「場」をレファレンスする。】
※人と人とをつなぐにはケアしたり、丁寧につないだりすることが必要。
理由:この人とこの人が合いそうというのは思い込みでしかない。つないだ結果はねつけあい、関係が悪くなる可能性もある。出会い方やタイミングが悪かったということもある。かけ違いでのはねつけあいがある可能性を考慮しておく。

「場づくり」の考え方は、イベントやワークショップ、地域活動をしている人だけに必要なものではない。「場づくり」の考え方は、日常をより楽しく生きていく方法論でもあると思う。

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「場づくり」について話を聞いた後は、インターン生たちによる質問タイムです。「藤本さんにとって信頼することとは?」「運営と参加者を滲ませるときに意識していることは?」というような問いに答えていただきました。

〈インターン生和田の感想〉
「場づくり」と普段の生活で意識することはなかったけど、「場」は誰にとっても関わりのあるものだなぁ、と改めて認識しました。まだ自分の「場」を作るよりは参加することの方が多いです。学んだからこそ意識して関わっていきたいし、教えていただいたスキルを身につけていきたいと思います!
藤本さん、ありがとうございました!

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