![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118738882/rectangle_large_type_2_6f24ec3cc2bc81026aab0ff342c22782.png?width=800)
Photo by
ykh1103
ショートショート『燃えたつ少年』
僕は生まれた時から本を読み続けている。これまでに何冊読んだかなど、とうの昔に数えることを諦めた。
小高い丘にある一本の大樹が僕のお気に入りのスポットだ。ここで体育座りをし本を読むのが僕の使命である。誰に言われたわけでもない。生まれ落ちた瞬間からそう決められているのだ。僕の街には街灯がない。だから星の灯りを頼りにしている。毎日変わらない満天の星空が僕の読書を助けてくれる。
ただ一つだけ不満がある。何者かに頭を叩かれるのだ。それも必ず右側から。僕は右を向くことができない。なのでその正体は分からずじまいである。しかし確実に叩かれる。1日に何度も、いや何万回も。時には肩を叩かれる。それも必ず右側から。何者か知らないが頼むから邪魔しないでくれ。僕は本を読むのが使命なんだ。これだと集中できないじゃないか。あぁ今度は足を叩かれた。当然それも右側から。
わざわざ読んでいただいてありがとうございます。 あなたに読んでいただけただけで明日少し幸せに生きられます。