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メモリーバンクネオン

私の友人の頼みで、銀行へ2人で行くことになった。1人だと心細いらしい。
銀行に行くのに心細いも何もないと思っていたが、入ってみてそれが分かった。
それはとてつもなく大きかったのだ。
何駅も乗り継いで行ったそこは、入った瞬間無数の人で溢れていた。

「1人だとなんだか負けそうだから」

そう言って照れくさそうに友人は笑っていたが、私は衝撃でそれどころでは無かった。
私は銀行に入ったはずだが、そこには車も走り、飲食店もある。何かの間違いではないか?
動揺を抑えきれないまま友人に連れられていく。
10分程連れ回され、大きな木の下にたどり着いた。

「ここが目的地なの?」

「うーん、まあそうだね。ここでちょっとまっててくれない?」

「えっ、私だけで?」

次の瞬間、友人は消えた。
どうしろっていうんだ。私は途方に暮れる。
まさか都会の銀行はどこもこんな感じなのか。
待てと言われたからには動けないので、私は座って時を待つ。

何時間経っただろうか。友人が帰ってきた。
私はほっとして立ち上がり、2人でこの銀行を出る。
外は、一面の電飾で溢れていた。
空にはトナカイがソリを引いて飛んでいる。
今はまだ10月だったはずなのに。
これはどう見ても、クリスマスだ!
友人は楽しそうに、売り出されているケーキを買っている。あとで一緒に食べよう。そう言われた。友人が買うケーキの上のサンタの砂糖菓子が、楽しそうに笑っていた。

私達は2人で夜の喧騒を進む。


「ねぇ、一体何をしてたの?」

「ひきだしてたんだよ」


夜のネオンをバックに、ケーキの箱を持って振り返った友人の笑顔はとても美しかった。







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即興小説トレーニングでの作品を、加筆修正しています。元はこちら

お題「都会の銀行」必須要素「クリスマス」
制限時間「15分」
http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=503786

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