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次亜塩素酸水を「物品の消毒」に使用するにあたって注意してほしいこと

 経済産業省等の2020年6月26日の発表(*1)によれば、次亜塩素酸水(*2)は、新型コロナウイルス対策として「物品の消毒」に対して、一定の条件のもと効果があることがわかりました。

 次亜塩素酸水を「物品の消毒」に使う場合の使い方の詳細は、以下のPDFを参照してください。わかりやすく書かれています。

●「新型コロナウイルス対策 「次亜塩素酸水」を使って モノのウイルス対策をする場合の注意事項 アルコールとは使い方が違います」(経済産業省)
 https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-4.pdf
●新型コロナウイルスに有効な消毒・除菌方法(一覧)(経済産業省)
 https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626012/20200626012-1.pdf

これをうけて、特に注意してほしいことを、以下にまとめてみました。

1.十分な水量が必要

 物品の消毒に際し、35 ppm以上の濃度(0.0035%)の次亜塩素酸水を流水(かけながし)で、たっぷり使うこととされています。
 または、拭き掃除などにおいては、80 ppm以上の濃度(0.008%)で、物品の表面がヒタヒタになるくらい大量の次亜塩素酸水が必要です。
 アルコール消毒液のように少量では消毒効果は期待できません。

2.保存方法と塩素濃度に注意

 次亜塩素酸水は、不適切な保存方法では塩素濃度が有効濃度以下に簡単に下がってしまいます。たとえば、日光(紫外線)があたると、簡単に分解してしまいます。
 ですから、保存する場合には、遮光するなど冷暗所に保管し、使用直前に、塩素濃度のチェックが必要です。
 残留塩素試験紙を使ったチェックなどで塩素濃度を確認できます。

3.物品についた汚れを落としてから使用

 物品を消毒する際、表面についた手の汚れ(皮脂など)を拭き取るなど、綺麗にしてから使用する必要があります。汚れによって、消毒効果が失われてしまいます。
 特に、ドアノブなど、手の汚れが付着しやすい物品の消毒は、まず良く汚れを拭き取るなど、気を付ける必要があります。

4. 手指の消毒には不適切

 次亜塩素酸水は、手指の汚れや皮膚表面のタンパク質などと反応してしまうため、消毒効果は期待できません
 強いて言えば、十分に汚れを落としてから、大量の次亜塩素酸水で、2分間の時間をかけて消毒する必要があるとされていますが(*3)、そのようなことはなかなかできません。
 まして、アルコール消毒液のように少量では消毒効果はないと考えられます。

5. 空間噴霧は推奨しない まずは「換気」

 空間噴霧は、吸引等により人体への悪影響の恐れがあり、推奨できません。空気中の浮遊ウイルスの対策には、消毒剤の空間噴霧ではなく、「換気」が有効です。

参照

*1 経済産業省 2020年6月26日発表
「厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました」
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013.html

*2 次亜塩素酸水は、塩酸や食塩(塩化ナトリウム)水を、電気分解することで作ることができる、次亜塩素酸(HOCl)が溶けた酸性の溶液です。また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かしたものも次亜塩素酸水として使われることがあります。
 なお、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、全く異なるものですので注意が必要です。

*3 これまでのエビデンスなどは、こちらにも記載しています。
(注意喚起)新型コロナウイルス感染症対策「次亜塩素酸水に関する情報」
https://note.com/amacrinecell/n/nd4292868635d

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