ペイ・フォワード(恩送り)は受け取る活動

こんにちは。天野です。

昨日スクラムフェス札幌から帰ってきました。今年は社内のスクラムマスター4名といっしょに登壇しました。セッション情報はこちらになります。スライドなどは後日改めてアップしようと思います。

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-sapporo-2022/proposal/17474

今年は現地参加者も多く、日程も3日間となり、着実にパワーアップしているのを感じました。運営に関わるみなさん本当にお疲れさまでした。尊敬しています!

コミュニティでは、よく「ペイ・フォワード(恩送り)」の概念が登場します。普通に話題として挙がることもありますし、色んな人と関わることで自然と感じることもあります。今日は、ペイ・フォワード(恩送り)について考えていることを書いてみます。

ペイ・フォワード(恩送り)

ペイ・フォワードは英語では "pay it forward" といわれ、言葉の意味としては下記になります。

誰かがあなたに親切にしたり、役に立ったりしたから、誰かのために親切にしたり、役に立つことをすること。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/pay-it-forward

人から受けた親切を、別の誰かに渡すことで繋いでいくという考え方ですね。日本語では、「恩返し(本人に直接返す)」と「恩送り(他者につなぐ)」と対比して使われることも多いです。

送る前には必ず受け取っている

恩を返したり送ったりするには、先に自分自身が恩を「受け取る」必要があります。何ももらっていないのに与える続けることは自己犠牲になってしまい、少なくとも多くの人にとっては持続可能ではありません。

「(恩を)受け取ったな」と気づくタイミングは人それぞれです。素晴らしいセッションを聞いた時、コーチズクリニックでの相談、何気ない立ち話、OSTでのディスカッションなど、スクラムフェスには恩を受け取るきっかけになる参加者同士の交流の仕掛けがふんだんにあります。

色々な経験をして、新たな洞察を得たり、問題への取り組みのヒントが見つかったりして、コミュニティやイベントからは沢山の気づきを持ち帰ると思います。そのような学びは、同じ場に参加していた他の人たちがいるからこそ得られるものです。

そして、自分が何かを「受け取ってしまった」という事実に気づいた時に、ある種の負い目が生まれます。これは金銭のやり取りではないので、そう簡単に「清算」することができません。本人に直接返すこともできないため、他者に「贈る(送る)」ことしかできません。

重要なのは、(恩を)「受け取る」という行為は、100%受け手に委ねられた受け手主体の活動であることです。送り手が「後で返してね」と求めることはありません。

ということは、我々次第でより多くを「受け取る」こともできるし、より多くを受け取った人はより多くを「贈る(送る)」ことができるようになります。もらったものを繋いでいるだけなので、自分をすり減らすこともありません。

ペイ・フォワード(恩送り)は「送る」という部分に意識が向きがちですが、いかに「受け取る」かの話であり、受け取ることで送ることが駆動されるのだと思います。

送ることで受け取っている

自分が初めてコミュニティに参加した頃、「なんでこの人たちは何の得もないのにやたらと親切にしてくるんだろう?」と疑問に思ったことを覚えています。

今考えると、この疑問に対する答えはシンプルです。もらったものを他の人に渡しているだけなんですね(他の理由で親切な人もいると思いますが)。受け手として、「もらいっぱなし」というのはすごく気持ちが悪いものです。だから他の人に「贈る(送る)」ことでバランスを取る。

送ることでしかバランスを取れないのであれば、送る相手を持つということは、送り手にとって決定的に重要です。送り手の視点で見れば、「受け取ってくれてありがとう」となります。つまり、送ることで受け取っているんですね。

受け取り合う場としてのコミュニティ

コミュニティ活動をする理由は、受け取り合うためじゃないかと思います。コミュニティは基本的にお金の介在しない場なので、活動自体から(内的)報酬を得られないと持続しません。

コミュニティの質の高さを「得られる内的報酬の多さ」と考えると、「より多くの内的報酬を送れる参加者の多さ」が重要であり、送ることは受け取ることで駆動されるので、「より豊かな感性を持つ受け手の多さ」がコミュニティには重要であるとわかります。

自分自身も、より多くを受け取れる受け手でありたいと思います。読んでくれてありがとうございました。


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ありがとうございます。書籍代に使ったり、僕の周りの人が少し幸せになる使い道を考えたいと思います。