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銀色の空、四羽の黒い鳥が私の左眼に写った。

今日は少し不器用な天気だなと思いながら
寒くなった朝の電車にのる。
少し高いところで一つに結った伸びた髪が、微かに揺れた。

電車が引っ張られるように進んでいくと、
山の端の方が明るいのが見えて
時間が私を置いていってただ目の前を過ぎていくうちに
街が、赤い電車の中が、オレンジのあたたかい光に満ちていって、私の茶色い瞳が乱反射を起こした。

私の瞳は、小さい頃浜辺でよく集めたシー・グラスの欠片たちでできている。


思えば私の記憶には、あたたかい光が差し込んでいるなと思った。

思い出す限りの一番古い記憶は
幼稚園から帰って家の部屋に入った瞬間みた、午後3時の光に満ちているお雛様が飾られた部屋で

あとは、中学生のお昼休みに、光で溢れてる窓際の黒いソファーに座りながら読んだ図書室の本だとか、
暖色系の街頭と街の白い光に照らされながら走っている大切な友達で、

たしかに私の記憶は光に満ちている。

あぁ、横浜に着いた。
私は先に行きます。
朝の絶望が私の今日を貫きませんように。
あなたも、最近寒くなってきたから、冷えないようにしてね。眠いね。がんばろうね。
いってきます

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