どこか遠くに向かって歩き始めたその人を引き止めようと声を出そうとしても掠れた息が吐き出されて紫色の宙にまじっていくだけで だんだんと離れていく私より少し大きい背中にしがみついてお腹に手を回しそのあたたかい背中に頬を当てようとしても足は動かなくてまるでこのままだんだんと頭のてっぺんまで石のように固まって人としての温度を失いあの大きかった背中も小さくなって夜に溶けてあの人は私が生きていたことを忘れてしまうのではないかと思うような感情 そんな気持ちになることが多くなった すべての
うつくしく、いとおしくなりたい、とおもった。 がらくた、眼のなかに、むつかしいことなく浮かばせられるのに。木漏れ日みたいに、たゆたっているのに、てのなかから血があふれるだけ。 でも、すこしの星屑たちが、きらきらひかっていて、わたしはそれに、てんしみたいなくちづけをするよ。やくそくを、するよ。 もしも、からはじまる呪文をとなえて、わたしたち、ただずっとみつめて、あいまいをあいするの。 眠れないの、ってわたしがいったら、よるをはじめる合図ね。 どうしてもよわくって、かわ
0:42 口づけ、って言葉は、口を離さないと完成されなくて、別れが約束されてるすごく一方的で儀式的な行為だ、っていつかきいたのをたまに思い出す。すごく美しくてすきだから。 2:24 今日知り合ったおばあちゃんに、 まつ毛がとってもきれいね、と言われてすごく嬉しかった。 まつ毛をのばすのは、眠りに深く沈むためなの。愛しています。 22:16 近頃はあまり月をみれていなくて、さっきベランダに出て、手すりに立って探したのだけど、やっぱりみえなかった。月みたいに満ち欠けできればい
いい香りを放つ夜が、時として訪れます。 決まって月が出ていて、言葉もいらなくなるような夜です。 私はその度、裸足のまま夜の風に揺られながら、薄明と夏の果を想います。 少し嘆いてみたり強請ってみたりして、それでもどこかで気づいているから、浴衣に着替えて、浅く眠れる枕元にそっと花の色を添えるのです。
涙を流すには少し足りない寂しさの置き場所を探しに、散歩へ出た。 携帯もお金も、なにも持たず猫みたいに歩く。 夕方の6時前。もう最近は日が長くなって、梅雨明けの発表を思った。夏が来るんだね。 駅まで出たら、選挙の街頭演説をしていて 「影がなくなるまで、光で徹底的に照らす」と声をあげていた。 そんなに照らされたら、眩しくて目が開けられないじゃないか。見えないなら闇の中にいるのと変わらないじゃないか。 とか、別に意味のない言葉を脳の中で並べた。 なんにでも反抗したい。 やだ
もう暑いね、あーつーーい。 6月が終わってしまう。五月病、(ギリ)六月病と言い訳をついてきたが流石に七月病とは言えなさそうだ。いつだって私は言い訳ばかりだな。 お風呂上がりに近所のスーパーに行った。スーパーって、絶妙な名前ばかりじゃない?よく分からないカタカナとか漢字が羅列しているけど、声にするとしっくりするし、懐かしい気持ちになる。 夕方の6時のスーパーは地元に住んでいるであろう夫婦や子供たちが沢山いて、とても安心する。アイスとエナジードリンクを買った。(買うものが高校
4月7日 胸まであった髪を、肩につかないぐらいまで切った。はさみで自分で切った。気に入ってる! 全部捨ててしまおうと思った。 切っている途中、今日は昔友人だった人の誕生日だと思い出した。 4月9日 乱雑なきりっぱなしの毛先は癖毛のおかげでかわいらしいフレンチ・ボブになった。 フランスの女の子みたいと褒められた。 4月11日 『君たちはどう生きるか』をみた。 地球儀が流れ始めた瞬間意味がわからないくらい泣いた。 4月13日 BOOKOFFで「銀河鉄道の夜」を買った。 本当
ハロー いかがお過ごし? わたしは今車窓から街を眺めていますよ、目の前の景色と時間が私を置いて行ってる 右のポケットにはチョコレートも入っているよ (車窓って言葉が浮かぶたび、昔家の2階の窓辺に置いてあった星野源の『いのちの車窓から』って本を思い出す) 5° やや曇り 明日は17:39に日が落ちるって 最近、ずっと嫌いだった朝の4時にも慣れてきた きちんと眠っていなくて、起きていることが増えたせい。 こうやって色んなものに慣れていって、諦めていって、大人になるのかなあ
まだ青い街 まるで世界を独り占めしてるみたいで楽しくなって 子どもの頃みたいに信号で手を上げて渡った 澄んだ空気が 私の鼻歌で震える さむいね 半透明の月が綺麗だった 夜と朝のすき間で電車を待つ 金魚の水槽。 なんだか昨日の真夜中は 訳がわからなかった 熱が出たみたいにいとおしくなったり だいっきらいになって月を蹴ったりしていたの そしたら光が溢れて 少しの間月光浴をして いつか言われた冷めた言葉の先のあたたかさを思い出した 今はすこし微熱がある 髪を切った 全
銀色の空、四羽の黒い鳥が私の左眼に写った。 今日は少し不器用な天気だなと思いながら 寒くなった朝の電車にのる。 少し高いところで一つに結った伸びた髪が、微かに揺れた。 電車が引っ張られるように進んでいくと、 山の端の方が明るいのが見えて 時間が私を置いていってただ目の前を過ぎていくうちに 街が、赤い電車の中が、オレンジのあたたかい光に満ちていって、私の茶色い瞳が乱反射を起こした。 私の瞳は、小さい頃浜辺でよく集めたシー・グラスの欠片たちでできている。 思えば私の記憶に
本を読む人がすきだ。 言葉の繊細さを知っているから。 言葉の使い方で、少しだけその人が見える気がする。 同様に、電車に揺られながら窓の外のどこか遠くを見つめる人がすきだ。 あの心越しに世界はどう映ってるのだろうと思う。ベランダに干された洗濯物とか、風に靡く白いカーテンを瞳の中に閉じ込めて、何を考えるのか。 私は、あの瞳に反射する光の欠片になりたい。 土曜日の午後四時に、窓の外から机に置いてあるマグ・カップの中に入り込むルビーのような、 または万華鏡に秘めているような、そん
白い光の反射を、今日も揺られながら眺めていた。 どうですか、ちゃんとご飯を食べていますか。 暖かい布団で眠れましたか。朝に追いつかれることに絶望しましたか。 私は、ここ最近、なんだか全て嫌になってしまって、 深夜の2時、このまま、少女のまま死にたくなった。 大人になりたくない。 別れの挨拶がバイバイじゃなくて、お疲れ様になってしまったりするのも、 だいすきな街を懐かしいと感じるようになるのも嫌。 お酒は飲めないままでいいから。 発展途上のこの感性はいつか壊れて、忘れてし