1 文字を忘却させて


いつも、感情が溢れているのに、言語化しないが故に自身の中で汚物と化すのである。
言語化すれば、「日記」にも「つぶやき」にも「随筆」にもなるのに。勿体無い。

そもそも、感情に「勿体無い」という単語は適切なのであろうか。

その時の感情を文字に起こしたところで、後で見返すと「なんて気持ちの悪い文章だ」と羞恥心が高まり削除してしまうのである。手書きの日記なら破いてゴミ袋へ、SNSのつぶやきであれば投稿削除へ。一度削除したものは複製している訳がないので忘却の彼方になるのである。

感情の保存は、本当に難しく、永遠の課題だと思う。


自身の感情を理解することも不可能な状況である。文章に起こしたところで、その言葉がはたしてどの程度純度の高い自身の感情なのであろうか。文章にするということは、自身を含め誰かに発信する行為なのだから、他者の目を少なからず気にしてしまう。それであれば、本来の感情よりも誇張したり虚偽の感情を言語化しているかもしれない。

悲しい話である。

そう思いながら、1人寂しく、辺りを見渡すと幸せそうな顔をする人間がカフェで相手と話しており、ああ、人生はこんなものなのかと落胆するのであった。

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