alvin
風俗嬢にまつわるノンフィクション。
憂鬱色に光るファンタジックなショートショート集。
大きく豊かな愛に包まれてこの世に生まれた君は十年余りで壊れてしまった。壊れた君は少しでも…
舞台の裏側のように照明は暗い。その暗い中を通路が貫いている。通路の幅は人のすれ違いがギリ…
アマテラスは平伏する二人に眼を遣った。月明りが蒼く満ちる風のない晩、高床はぼんやりと燈明…
夕刻の日射しを照り返す焦げ茶のフローリングに刈り取られた白い花が落ちている。それは…
その子はいじめられていた。赤茶色の髪を揺らして喘いでいた。向こう側の男はスカートをまくり…
さゆりはうろたえた。反射的にスカートの裾に手が伸びた。太腿の奥を何かが伝った気がしたのだ…
絶え間ない川瀬のせせらぎに早起きの鳥のさえずりが唱和し始めた。古の木々で深く包まれた岩場…
駅前の古い映画館はピンク映画の専門館で男性同士の交際場所つまりハッテン場としてもそれなり…
渺漠たる空にぽってりと腫れたように満月が浮かんでいた。その湿った淡黄の照りのせいで無窮の…
節会終りの夜更け、大臣は寝殿に向かう途中に宮の侍る侍廊を訪った。 「節会の調え、まことに…
阿呼は和鏡の中からこちらを見る少女を凝視した。由良がついさきほど言い放った「阿呼は女子じ…
「宰相、わらわの肉置はいみじう肥えたであろうか」 姫君は宰相の君、すなわち女房に手渡され…
幾日か低く垂れこめた梅雨空が続いていた。それでも重い木組の軒の影になった廊下から見ると外…
アキオはその日まで同級生だった。でもその日からアキオはカレになった。 朝も昼もいつもの通…
夫人は下着を選んでいた。入浴をすませて家計簿と日記兼用のメモをつけ終わった後の短い…