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シュートは「レイアップと3ポイント」を優先するべき理由
今回は、バスケは「レイアップと3ポイント」を優先するべきゲームであるという考え方ついて紹介します。
言い換えると、原則的にはミドルレンジのシュートは積極的に打つべきではないということです。
これは決して奇抜なアイデアではなく本質的なテーマです。おそらく、バスケのルールに3ポイントシュートがある理由そのものです。
そして、得点というゲームの中核的な要素に関わることなので、極めて重要な知識だと思います。
ちなみに、覚えやすいように「レイアップ」と表現していますが、実際はゴール付近のシュートであればなんでも構いません。
【注意】目指すべき将来像と子どもの時に練習するべきことは異なる
これから、結論としては「ミッドレンジよりも3ポイントシュートを優先するべき」という話をしますが、だからといって小学生や中学生に3ポイントシュートばかり打つように促すことはお勧めしません。
まだ筋力が十分に備わっていない状態では、目一杯放り投げるようなシュートになってしまう場合が多いからです。
将来的に3ポイントシュートのスキルに求められる力は様々な「調整力」であって、パワーではありません。身体が成長するにつれてボールの飛距離は自然に伸びます。3ポイントシュートが届かない成人バスケ選手の方が珍しいはずです。
だから、飛距離が出ない子どもの間にやるべきことは、「将来必要になる調整力を磨くこと」だと思います。十分に届く距離から確率高く決められることや、多様な打ち方ができるようにすることなどです。
もしこの記事を読んで3ポイントシュートの重要性への理解が高まっても、小学生やまだ筋力が足りない中学生に6.75mからのシューティングを奨励するようなことはしないようお願いします。
ゴール付近のシュートは優先的に狙うべき
では、本題に入ります。
いまから、今シーズンのNBAのデータを使って説明をしていきます。
今回使うデータはこちらから見られます。(NBA.com)
こちらの2021年12月29日時点の全チームのデータを合計して使用しました。
ちなみに、過去の別のシーズンも傾向は同じです。
4つのゾーン
NBA.comでは、シュートを以下の4つのゾーンに分けています。
![](https://assets.st-note.com/img/1640804497008-dMQkOby6ar.png?width=800)
他に5フィートごと、8フィートごとでも見ることができるのですが、今回は直感的に分かりやすいのでこちらのゾーン区分を使います。
セミサークル内だけ極端に成功率が高い
以下の図表は、各ゾーンのシュートの成功率です。
![](https://assets.st-note.com/img/1640804626850-nTyLzPHsKm.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1640804667291-1RdgNbWrE6.png?width=800)
この図表を見ると、ノーチャージ・セミサークル内のシュートは64.3%と、他のエリアよりも20%以上も成功率が高いことが分かります。
このゾーンのシュートは、レイアップやダンクを含むゴール近くでのシュートです。ノーチャージ・セミサークルのラインは、NBAではゴールから約1.22m(FIBAは1.25m)の距離になるように引かれています。
ノーチャージ・セミサークルの外は急に成功率が下がる
セミサークルより外のシュートは、距離はまだ近いにも関わらず急に成功率が下がります。
また、セミサークルの外のシュートは、距離に関わらずほとんど40%程度なのも興味深い点です。この理由はまた次回の投稿で考察します。
少なくとも、セミサークル内のシュートとそれ以外は「別物」であることが分かると思います。
まずレイアップは優先するべき
成功率の高さから、やはりゴール近くからのシュートは優先的に狙うべきだと言えそうです。
3ポイントは「得点効率」が高い
得点効率について
シュートの評価は、ただボックススコアに載っているような本数や確率だけでするものではありません。
それらに簡単な計算を加えて「1本あたり何点か」を確かめます。そうすれば、種類の異なるシュートの効率を比較することができます。
例えば、完全にノーマークのレイアップは100%成功するものだとすると、
「2点を100%の確率で取れる」ので、[2 × 100% = 2点]です。
次は、仮にジャンプシュートを50%の確率で決められるとすると、
「2点を50%の確率で取れる」ので、[2 × 50% = 1点]です。
この考え方をシュートの「得点効率」と呼び、Pts/Shotと表記されることが多いです。
※Pts/Shotは「ポインツ・パー・ショット」と読みます。「シュート1本あたりの得点数」の意味です。
3ポイントの得点効率は「1.5倍」
2ポイントと3ポイントのシュートは、同じ成功率であれば当然3ポイントの方が1.5倍多く得点が入ります。
先ほど計算したとおり、2点のジャンプシュートを50%で成功させた場合の得点効率は1点でした。
もし3ポイントシュートを同じ50%で成功させた場合は、
「3点を50%の確率で取れる」ので、[3点 × 50% = 1.5点]になります。
この2つのシュートを試合で10本ずつ打ったとすると、
2ポイントのジャンプシュートでは10得点になり、
3ポイントのシュートは15得点になります。
得点効率の計算のしかた
この考え方を計算式にすると次の通りです。
![](https://assets.st-note.com/img/1640804752068-mwoL9i193w.png?width=800)
ゾーン別の得点効率
ここで一度、ゾーン別のシュート成功率を確認してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1640804774456-rhCaIiQDnj.png?width=800)
この成功率から、得点効率を計算してみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1640804788048-5iix7Pl6j3.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1640804797389-ZKaK93T3XN.png?width=800)
レイアップは1本あたり約1.3点と最も高いです。
そして、3ポイントシュートは1本あたり1.05点と、レイアップの次に高い数値になりました。
その間の2つのゾーンは約0.8点と低いです。
これが、シュートは「レイアップか3ポイントにするべき」という考えについての、得点効率の点での根拠です。
おしまい
今回は、得点効率の観点からレイアップと3ポイントシュートを優先するべきだという考えを紹介しました。他にも理由があるのですが、長くなるので続きは次回にします。
次回は、引き続きこのテーマについて、得点効率以外の効果などについて紹介します。
ではまた。(塩野)
<続編はこちら↓>
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