7分30秒小説『勇者、死すべし』
聖剣一閃、逆袈裟に斬り上げた一撃が、魔王の左手を切り飛ばした。振り下ろされようとしていた魔王の杖、右手ごと宙に舞う。杖に込められていた魔力が暴走し、魔導士の胸を撃ち抜いた。
「エリス!」
魔導士の名を叫び駆け寄る勇者。魔導士は地に伏して呻く。魔王は玉座の後ろに立ち込めていた闇の中に消える。残ったのは、勇者と戦士、僧侶、そして深手を負った魔導士のみ。辺りには、魔物の死体と勇者軍の兵士の死体が、境目が分からぬほど入り混じって床を埋め尽くしている。生き残りは勇者パーティーの4人