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田近夏子個展「二度目の朝に」インタビュー【後編】

この記事は田近夏子個展「二度目の朝に」のために事前に行われたインタビュー記事【後編】です。

【作家】田近夏子(写真家、以下T)
【聞き手】篠田優(写真家、Alt_Medium共宰、以下S)

〔作家プロフィール〕
田近夏子 / TAJIKA Natsuko
1996年生まれ、岐阜県出身。
2019年東京工芸大学芸術学部写真学科 卒業

2018年に開催された塩竈フォトフェスティバル写真賞に於いて大賞を受賞。
2020年自身初となる写真集『二度目の朝に』を塩竈フォトフェスティバルより刊行。

【前編】はこちら→
【中編】はこちら→

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カメラについて

S:写真によってはかなりピントが曖昧なものが多いなと思いました。
35ミリのフィルムカメラで撮影されているものは、断片的というか被写体に寄ったり、四隅も成り行きで切れている気がしましたが、中判カメラで撮られた写真については、一枚のタブローというかまるで額縁にいれているかのように四隅まできちんと意識的に見ている写真だなと感じました。

でもこの違いはとてもいい効果を出していると思いますし、うまいなぁと思って僕もハッとさせられることが多かったです。
これは何か意図があってのことなのでしょうか?

T:意図はないですね。
とりあえずカメラはあるものを使っちゃうので。ただ、確かに中判カメラの方が真剣に撮ってます。(笑)
中判カメラだと無意識っていうか、あんまり気がつかないうちに撮るってことができないなって思う。

S:カメラは何を使っているのでしょう?

T:この時はペンタックス67です。
今は、えーと三台くらいです。

S:フォーマットごとに使いわけているのでしょうか。

T:フォーマットごとですね。35ミリのフィルムカメラを二台と、中判カメラが一台。
もともと持っていた一眼カメラはEos kissだったんですが、それを持つのが嫌でコンパクトカメラや写るんですを使っちゃう時が何度かありましたね。(笑)

S:まぁそれで糾弾されることはないと思いますが。

T:いやでも、撮り終わって現像に出してからすごく首を絞められるなとは思いました。(笑)

S:例えば中判カメラの写真だけで作品を構成しようと思うと、現在の田近さんのそれとは雰囲気が変わってしまうと思うけど、そうしたフォーマットの違いはその日の気分なのでしょうか?なんとなく今日はこっちを持って行こうかな、みたいな。

T:気分ですね。あ、でもこの作品を撮影しているときはどっちも持っていました。

S:じゃぁ被写体によって、これは中判カメラにしようとか35ミリのフィルムカメラで撮ろうとか決めていたのでしょうか。その気持ちの違いは一体どこで決まるのでしょうか?

T:うーん、これは絶対とりたいと思う場面では中判カメラで撮影していたかもしれません。

S:それはつまり大事な場面は高精細に残したいってことなのでしょうか。

T:なんかファインダーを見た時に、一度35ミリのフィルムカメラを構えても、これじゃないなって思った時は中判カメラに持ち変えるのかもしれません。でもどうだろう、あんまり意識していない気もします。

S:質問しておいてなんだけどその気持ちはすごくわかりますね。僕も中判カメラと大判カメラを一緒に撮影に持っていく時がありますが、中判カメラのファインダーで覗くと大判カメラがいいな思う時もあるし、その逆もある。僕の場合は被写体で分けてしまうことも多いけど、でも確かにフォーマットによって適している、適していないっていう言葉にできない感覚の部分があるとは思う。

もしかしたらアスペクト比の問題かもしれないし、それだけじゃないかもしれない。確かにわからないとしか言いようがないんですよね。

T:最近は新しいコンパクトカメラを買って、それとほんの2週間前くらいにマキナ67を中古で買いました。このカメラなら街を歩ける気がします。(笑)

S:マキナ67ってとても写真機としてのインパクトが強いけど、その形はペンタックス67に比べたらひかえ目でいいですよね。

(終)

*今回のインタビューでも触れた田近夏子写真集『二度目の朝に』は下記でご購入いただけます。

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