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幸せってなんだっけ

2013年
9月10日

『お疲れさまです。
大変ご迷惑をお掛けしています。

どうやらすべての検査が終了したようで、先生からお話がありました。

やはり、ALSの可能性が高いとのことです。よって、本日から唯一効果があるとされているリルテックという薬を処方されます。
この薬の副作用について経過観察が必要なので退院は12日か13日になるとのことです。なので15日には一時復帰したいと考えています。

妻と姉への説明は明日11日の17時からとなっていて、現時点での検査結果と今後のことを詳しく説明していただきます。
今後はとりあえず○○病院が家から近いということもあるので、通常はここで診ていただくことになろうかと思います。

仕事面については、できるだけ仕事を続けたいとは思いますが今後の身辺のことも含めて時期を見てご相談、ということになろうかと思います。この辺りは以前お話しさせていただいた時とあまり変化はありません。
また何かとご迷惑をおかけすることと思いますが、何卒よろしくお願い致します。

以上、取り急ぎご報告いたします。』


9月11日
『昨日の報告に補足しておきます。

「ALSとは断定できない」という結果だったのですが、私の解釈では材料が完全ではないだけで、それ以外の病気の可能性も現時点ではない、ということだと思います。
以下、主治医からの説明の要約です。

・からだの反射(例=膝叩いたら足が勝手に上がるアレですね)が亢進(過敏に反応)するのは上位運動ニューロンの問題

・筋繊維が細くなったり筋力が弱まるのは下位運動ニューロンの問題

・上記両方の症状が出るのはALSの特徴で、私は両方出ています。

・頭の中心(目の奥)辺りに運動神経伝達の通り道があるが、MRI画像でそこに白い影が見られることから運動神経の伝達に何らかの異常があるのは間違いない。

・針筋電図検査では7ヶ所中1ヶ所のみの異常だったが、症状を自覚して半年であることを考えられるとまだ初期の段階であり、この結果もあり得る(とはいえ1ヶ所だが異常はあった)。

・その他の症状(話しにくさ、筋肉の痙攣)からみてALSを強く疑う。

要約以上(私は専門家ではないので表現等で正しくない部分もあろうかと思いますがご容赦ください)。

説明は余命についてや呼吸器の問題、最後の迎え方についても言及があり、私としては実質確定診断と受け止めています。

とりあえず、、、こういった事でございます(^^;)

以上、補足でした。。。

ちなみに現時点でリルテックの副作用はまったくないのでひと安心です(^^ 』


これはALSを発症した2013年、セカンドオピニオンの病院に検査入院しているときの上司への報告メール。ちょっと前にたまたま発見したんだが、これを読んでいると当時の心境を俯瞰するような目線で思い出し、何とも言えない気持ちになった。顔文字なんかを使って平静を装ってるあたり、今見ると当時の自分に「うんうん」と頷いて肩をたたいてやりたい。

どう表現すればいいんだろう。暗い部屋に一人取り残されたような、自分だけ時間が止まっているような、そんな毎日だったと思う。落ち込むということはなかったけど、不安な気持ちはずっとあった。死に対する不安はもちろん、先が見えない、見ることができない不安が大きかった。

今でこそ病状も安定し、支援も万全な環境で未来を考えることができるけど、当時はとにかく未来を想像できなかった。5年くらいで死んでいくということが、想像できる一番遠い未来だった。

そんなことを振り返っていて思うのは、今この瞬間も同じような気持ちで過ごしている人がきっとたくさんいる、ということ。そういう人たちが生死がかかった困難を目の前にして、何を思うだろうか。どんな気持ちでいるだろうか。

発症して間もなくで現実を受け入れられない人。

これからどうなってしまうのか不安に押しつぶされそうな人。

幸せそうな家族写真が印刷された年賀状を見て素直に喜べない自分に嫌悪する人。

誰も悪くないけど、強いて言えばこんな病気になった自分が悪いんだと自分を責める人。

幸せって何だと思いますか?

人それぞれでしょうが、今、私が聞かれたら、
「こうありたい」という未来を語ること、
「こうありたい」という未来を語れる人が周りにいること。

と答えるかな。

春は未来の話をするいい機会だと思うので、ぜひ誰かとワクワクする未来の話をしてください。一人で妄想もいいですよね。

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