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創作童話【ともくんおにいちゃんになる】

  もうすぐともくんはおにいちゃんになります。 お母さんのお腹がおまんじゅうのようになってきたある日、ともくんとお母さんはお買い物に出かけました。そして幼稚園に入るともくんの洋服と赤ちゃんの産衣を買いました。       
「ぼくが持つよ」    
ともくんは買い物袋を持ちました。
けれども袋が大きかったので地面につきそうになりました。 
「ではこれを持ってね」    
お母さんが赤ちゃんの産衣が入った小さな袋を渡しました。
お母さんと手をつないで横断歩道を渡ろうとした時、ともくんがつまずきました。
けれどもお母さんがぎゅっと手を引っ張ってくれたのでともくんは転ばないですみました。                 
ともくんはお腹をさすっているお母さんに言いました。
「今、お腹の赤ちゃんがおにいちゃん大丈夫?って言ったかな?」
お母さんはにっこり笑って言いました。
「そうね、転ばなくてよかったねって言っているわね」
ともくんは背を伸ばしてピョンピョンしながら歩いて行きました。

 ひと月たってたんぽぽが黄色のじゅうたんをしきつめた頃、ともくんにおとうとができました。 
名前はなおくんといいました。
なおくんはともくんが大きな声でお歌を歌ってもスヤスヤ寝ていました。
お腹がすくとお母さんのおっぱいだけでは足りなくてミルクもあっという間にのんで、またスヤスヤ寝ていました。   
ともくんが幼稚園のお友だちを連れてきて遊んでいても起きません。
ともくんのお友だちが言いました。
「なおくんはいつ起きてるの?」

 ある日、ともくんがなおくんのまん丸なお顔をのぞき込むとなおくんは手と足をバタバタさせていました。
ともくんはなおくんのほっぺをちょこっとさわってみました。マシュマロよりやわらかいさわり心地でした。
ともくんがじーっと見つめるとなおくんもじーっと見ています。
ともくんがベロベロ〜と舌を動かすとなおくんもちっちゃな舌をペロッと出しました。 
ともくんが「あ〜まねしたよ!」と言って笑うとなおくんはいっそう手と足をバタバタさせていました。
ともくんが話しかけるとまた手と足を動かします。それはまるでともくんとお話ししているようでした。

 しばらくしたある日、お母さんがなおくんをだっこして高い高い〜をしました。
なおくんは大きな口を開けて笑った顔をしました。お母さんがともくんに
「なおくんが笑ったよ!」
とはずんだ声で言いました。      
その後なおくんはおっぱいをコクコク飲んでお母さんの胸の中で気持ち良さそうに寝てしまいました。お母さんはなおくんを見つめてにっこりしました。するとともくんはちょっとさみしそうにお母さんに言いました。
「お母さんはなおくんがかわいいんだね」   
お母さんはちょっとびっくりした顔であわてて言いました。
「お母さんはともくんもなおくんも同じくらいかわいいわよ。今はなおくんがまだ赤ちゃんだからいっぱいだっこしないとね。ともくんのこともいっぱいいっぱいだっこしたなぁ」
ともくんはちょっと安心してお母さんにくっついて眠りました。

              おわり

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