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創作童話 七いろのプリン 4/4

 夜になって、風が強くなってきました。
その時ドアが開いて、ヒュワーンと冷たい風が入ってきました。
入ってきたのはビリルでした。
 ビリルは散らかったキッチンを見ながら心配そうに聞きました。
「バニラさん、プリンはできましたか?」
バニラさんはにっこり笑って言いました。
「少し前にできたところですよ」

 七いろのプリンは
〈赤 橙 黄 緑 青 藍 紫〉
の宝石のようにプルルンと光っていました。
 ビリルはそれを見ると、目をかがやかせました。
「なんてステキなプリンなんでしょう。
これできっとプリズムさんも元気になることでしょう」
「私もこんなプリンを作れてよかったわ」
「ところでバニラさん。プリンのお代ですが、あいにくぼくたちはお金を持っていません。かわりに北風さんからこれをあずかってきました」
 バニラさんはビリルから渡されたものを見て、目を見張りました。

 それは、いろとりどりの木の葉をぬいあわせて作ったテーブルクロスでした。
 バニラさんはさっそくキッチンの木のテーブルに広げてみました。
 それは森のにおいがする秋いろのテーブルクロスでした。
四すみにはいくつものどんぐりで作った重しがついていました。
「なんてすばらしいテーブルクロスでしょう。ビリルの服とおそろいね」
「はい。北風さんが作りました。きっと春にはいろが変わります」
「まあ、楽しみだわ。北風さんによろしくね。プリズムさんおだいじに」
「ありがとうございました」
ビリルは木箱をかかえると、風の中に消えて行きました。

 風が強くなってきて、夜中にはとうとう雨が降り始めました。
 翌朝、太陽の光があんまりまぶしくて目がさめたバニラさんは、窓の外を見てびっくりしました。
 空には大きな虹がくっきりと弧を描いていました。
〈赤 橙 黄 緑 青 藍 紫〉
 バニラさんはそのあざやかないろをながめて、しばらく声も出ないまま立ちつくしていました。
 そして、はっと気がついてにっこりして言いました。
「プリズムさんは、元気になったんだわ」


                おわり

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