見出し画像

見えるものづくり、をする

2021年、僕のテーマを
1.「見えるものづくり」(トレーサビリティ)
2.「つながりをつくる」(リレーション)
と考えた。

「持続可能な社会」や「サスティナブル」というのは最近よく聞くフレーズ。僕自身も結構使うし、本当に「持続可能な社会」になってほしい。
だけど、「持続可能な社会」や「サスティナブル」という言葉が使われれば使われるほど、その意味みたいなものが割と薄れてしまったりする。

それは、「なぜだろう」と考えると、きっと「ことば」に中身を入れずに使い出すからだ。バズワードと言われるようなものの問題は、その辺にある気がする。企画書に使いやすい、見出しに使いやすい、なんとなくいいことっぽい。そういうことが増えてくると、その「言葉」は中身をなくして、外面だけで社会に溢れ出す。

そうすると、次第に飽きられていく。だから、今、必要なことは、サスティナブルや持続可能性について、しっかりと中身を詰め込んで隣の人に渡していく作業だ。多様性やダイバーシティも同じかもしれない。とても大切な「言葉」なのでみんなで大事に育てていきたい。

さて、この持続可能性を考えたときに、僕が大切だ、と考えているのが「見えるものづくり」だ。
まず、「見えるものづくり」というのは、ものづくりの工程にブラックボックスがない、ということ。見せることができる、追跡することができるものづくりが、持続可能な社会にとって重要だと考える。

どこから来て、どこにいくのか

僕らの暮らしは、 「もの」 に囲まれている。身の回りにある「もの」に対して、「これは一体どこから来たんだろう」と問い直してみる。そして、「これはどこへ行くんだろう」と考えてみる。
するとほとんどの「もの」がどこから来て、どこにいくのか、僕にはわからない。自分で選んで手に取ったものがどこから来ているのか、誰が作っているのか、わからない。分かるものといえば、生産者から買った野菜やお米くらい、かもしれない。

「どこから来て、どこにいくのか。」
このシンプルな問いに答えられるということが、実はとても大切なことなのだと思う。
「もの」の向こうには、たくさんの人たちや自然にまつわる物語が詰まっている。例えば、僕らの会社がつくっている無垢の家具から考えてみる。
「もの」の手前には木材を加工して家具にする職人がいる。その向こうには、丸太を引いて板にしてくれる製材所がある。

画像1やまとわの家具職人

画像2地域の製材所「有賀製材所」さん

さらに向こう側には、木を伐り山から運び出すきこりがいる。その木は少し前まで、森の中で葉を揺らしていた。

画像3やまとわの林業チーム

ものづくりは、たくさんの物語の繋がり。
やまとわでつくっている家具は、すべて地域の木材(信州伊那谷)を使っていて、どこの森から、誰が伐って、誰が板に挽いてくれたのか、全て分かる。だから、みなさんに見てもらいたい場面がたくさんある。

一方で、工程が増えれば増えるほど、ものづくりの向こう側は遠く、霞んで見えなくなる。見えない部分を想像するのはとても難しい。だけど、多くの場合、見えないところで問題が起こっている。
「見えていない」ことや「知らない」ことで、様々な問題に対して無意識に加担してしまうことがある。それは僕らの本意ではないはずだ。
衣類に使われるコットン栽培がもたらす環境負荷と働く人に対する影響(水問題や農薬による健康被害など)。縫製工場の働く人に対する劣悪な環境や児童労働の問題は報道などで目にすることも多い。どこの服を買うと、知らぬ間にそこに加担しているか、僕らは知らない。
輸入木材が持たらしている影響も様々にある。この辺りのことについては、丁寧に書いていきたいので、近いうちに。(もちろん、環境や労働環境に配慮されたものづくりもたくさんあります!)

どこで、誰が、どうやって作っているか、わからないということが、僕らを無責任でいさせてくれる。

「もの」の先にある物語を見えるようにしていく

「持続可能な社会」について考えるときに、なにを思い浮かべるだろう。
環境負荷の少ないものを選ぶことやフェアトレードのものを選ぶ、といったことが考えられる。

こうしたものを選ぼうにも、ものづくりの工程が見えなければ、選択することができない。だからこそ、僕らは「見えるものづくり」をする。「ものづくりが森を豊にする」と自信を持って言えるものづくりをする。

そうやって、「もの」の先の物語が見えてくると、きっと選択は変わる。持続可能な社会は、僕らが毎日の中で選び取っていくことの連続で作られていく。

ということで、今年のテーマの一つは、「見えるものづくり」。

やまとわで作っているpioneer plantsという家具、オーダーメイド家具、信州経木Shikiも、すべて家具や木工品は、どこの森で誰が伐った木なのか、そしてそれをどこの製材所で挽いてもらったのか分かる。

この「見える」ということを、さらに面白くしていくのが、「つながるということ(リレーション)」だと考えている。リレーションの話はまた次回。

「もの」を選ぶときに、ちょっと立ち止まって、「これって一体どこから来たんんだろ?」とたまに考えてもらえると嬉しいなぁと思う。合わせて、これって最後はどこにいくんだろう、ってことも。息苦しくない程度に。

リレーションについてはこちらからどうぞ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?