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モチベーションとエンゲージメント〜現場で働く専門職の本音とは〜

こんにちは。ALTURA広報担当の安田です。
今回は、介護施設で働きながらALTURAで広報の仕事を兼務しているわたしの経験を共にし、若手職員の本音をご紹介しながら「モチベーションとエンゲージメントの違い」について書かせていただきました。


■医療介護業界でエンゲージメントが重要視される背景

ヘルスケア業界は患者さんに最善を尽くすという意味で、患者さん「のために」活動していました。
しかし患者さんのために最善を尽くすだけでは、最善のパフォーマンスを継続することが困難であることがわかってきました。

患者エンゲージメント活動に取り組んできたロード・ドゥウルフ氏が述べた言葉があります。

「従業員自身がこのように扱われていなければ、従業員が患者さんのことをこのように扱うと期待するのはおかしい」

「他人から自分にしてもらいたいと思うような行為を人に対してせよ」

では患者さんが医師に求めることと、職員が上司に求めることには、
どのような共通項があるのでしょうか?

自分の話を聞いて欲しい
時間を割いて、真剣に聞いて欲しい。コメントすること、ましてや批評するのではなく、理解することに専念して欲しい。

自分を「役割」以上に捉えて欲しい(例、子ども、生徒、従業員、患者などの役割):私はどの役割以上の存在なのか。私は、様々な面や役割をもつ人間である。

自分の価値を尊重して欲しい
特に価値観が異なる場合。真の尊重とは、異なる価値観や目標があったとしても良好な関係を持つこと。私が自分の価値観や目標を実現できるよう、手助けして欲しい。

自分の代わりにではなく、自分と共に意志決定して欲しい:
私に影響を及ぼすような意志決定であれば、私に質問して、私の意見を聞いて欲しい。患者コミュニティの中で長年有名なモットーとされているもの一つに「我々抜きにしては、我々のことになっていない」がある。

忠誠心をもって欲しい:
私はあなたの期待を裏切るかもしれない。それは、あなた同様、私も人間だから。私を除外したり、私から離れないで欲しい。特に、私に与えられることが無くなったとあなたが感じた時、あなたは少なくともあなた自身を私に与えられる。最後まで共にして欲しい。

上記の点から患者さんのために働くことに対し、職員自身が組織から大切にされているという実感や、風土がまだまだ欠落してることがわかります。

現在の医療業界の課題と職員が求めることとはどのようなことでしょうか?


■生産や利益創出を求める?患者さんからの評価を求める?

医療介護の業界は経営課題が非常にシビアであることから、病床の稼働率や手術件数、リハビリ単位数などを重視し、さらには人件費を削減するために医療事務スタッフの人数を減らし介護士や看護師は最低限の人数で現場を回すといった過酷な状況が続いています。

そうした生産性や利益を組織から求められるということは、当然職員は効率良く動き機械的な「業務」にならざるを得ません。

また最低限の職員数で日々業務に追われていたとしても、給料が高いわけでもなく、インセンティブ(報酬)が出るわけでもない。
となると、職員の心理はどういった感情が生まれるか想像できますね。

✔︎なぜこの組織で働いているのかわからなくなる
✔︎もっと患者さんと向き合いたいのに忙しくて疎かになってしまう
✔︎人がいれば自分じゃなくてもいいのではないかと思う
✔︎自分が大切にしていることがわからなくなる
✔︎楽しさ、働きがい、感謝の気持ちが薄れてきてしまう

上記のような感情は言語化し人に伝えることが簡単ではありません。
また誰かに相談してもそう簡単に変わらないことも職員はわかっています。だからこそ上司には相談しない、「期待しない」のです。

そのまま心身ともに疲労し悩んだ結果が「転職」「離職」

ここまでで組織は職員に対して何ができるのか、少しヒントが見えてきましたね。

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どういったことをするべきなのか考える前に、一つ整理しておきましょう。

今回のテーマである、「エンゲージメントとモチベーションの違い」です。モチベーションが高いからといってエンゲージメントが高いとは決して言えないのです。

2つの違いについて、まとめてみました。


■エンゲージメントとモチベーションの違い

エンゲージメントと似たような言葉として、「従業員満足度」「モチベーション」「ロイヤリティ」があります。

従業員満足度:
従業員がどれだけ会社や職場に満足しているかを定量化したもの。
主に給与・福利厚生・職場環境・人間関係
従業員満足度が高くても職員が自発的に組織に貢献しようとするわけではなく、ましては収益や個人の生産性が高まるわけではありません。
モチベーション:
ものごとに取り組む意欲を引き出す「動機付け」。
成果報酬というインセンティブによってモチベーションを引き出す仕組みが多くの日本企業で取り入れられました。しかしモチベーションはあくまで個人の動機付けであり、その向く先がバラバラであれば組織としての生産性は高まらないということです。
ロイヤリティ:
忠誠・忠義・忠実・誠実。
従業員の自社に対する帰属意識や愛社精神、忠誠心を表しており、確かに組織への貢献しようとする意欲が高まるものの、あくまで組織と個人の主従関係が前提で成り立つものです。

それではエンゲージメントとは何が違うのでしょうか?

働きマン

エンゲージメント:
熱意や活力など個人の意欲が組織や仕事にどれだけ向かっているかを測定したもの。自己の成長につながっているか、やりがいはあるか、方針に納得できているかなど組織と仕事に対する個人の意見や感覚や状態を評価します。

例えば「彼女の誕生日プレゼントに素敵な時計を買ってあげたいから、ボーナスまで頑張って仕事をしよう!」というのは個人の動機付けであり、この彼はモチベーションが高くまるのがわかります。

しかし「お金を稼ぐために」仕事をするわけですから、個人のがんばる方向が組織の成果につなげることはややズレが生じてしまいそうですね。

またロイヤリティは上下関係が生まれてしまいますが、エンゲージメントはあくまで組織と個人は対等な存在として関係を作ることが前提とされています。

つまり、職員の組織に対する「自発的な貢献意欲」があるエンゲージメントがあるかどうかが、組織の生産性を上げるために重要な評価ポイントであるということです。

言葉の定義が異なることがわかったので、組織が個人に対して何が必要なのかを考えてみましょう。

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■若手が育った時代と経営層が育った時代を理解する

一般企業に対してヘルスケア業界が遅れをとっているのは、「情報が古い」ことが原因の一つだと考えられます。

「ある一定の給料をもらっているのだから組織のために働くのが当たり前」

「入職したら安定して長年腰を据えるのが当たり前」

などといった考えは今の時代通用しません。
それは若者の考え方が自由すぎる、ゆとり教育で育ったから考えが甘いとかそういう理由ではおそらくないでしょう。

現代の日本は、経済不況が長期的に続いたことから終身雇用の文化の頃から人材の流動化が進み、転職が当たり前になりました。

若手であれど組織への愛着を持てない、働きがいを感じれないと思えばその職場を離れてしまいます。職場を辞めても、独立してもある程度生活ができるノウハウが盛んにYouTubeなどで学ぶことができ、経験している人が増えているから転職への壁が低くなっています。

さらに医療専門職においては国家資格という「どこでも働ける武器」を持っているわけですので、必要とされたい、もっと自分の力を活かしたいと思う人は少なくないはずです。

良い人材がいても、組織から去ってしまうようでは組織の成長にはなりません。離職率は経営にも大きく影響してきます。

こうした課題を解決するためにも、「ここで働きたい」「ここにい続けることが自分の成長となる」と思ってもらうことが大切なのです。


■まずはスタッフの強みや個性を理解することから始める

昨今、医療専門職が独立しフリーランスとなる方も増えています。
この背景としては、個人を力を評価され、自由に自分の理想を作り上げたいという意欲、つまり世の中からはクリエイティブさを求められ、個人もそうした力を求めているということです。

外に出る理由はズバリ、「病院にいては成長できない」「世界が狭い」という考えに至るから外に出ようとするのです。

そうした医療職のポテンシャルを評価し、院内でも個性を発揮しつつ成長できる環境を作れるのであれば、「この組織にいたらこんなことができる!」となるはずです。

他施設との差別化とPR活動をしていくことが必要となり、PRできるような風土や取り組みをすることが職員のエンゲージメントを高める手段になるのではないでしょうか。

今どうするべきなのか、何が必要なのか?

「スタッフを知ること、組織課題を明確にすること」

極論、スタッフは自分のことを見てくれた、知ろうとしてくれた、意見を聞き入れてくれたという承認があるだけでも貢献意欲というのは生まれるものです。
そうした小さなきっかけを日頃から作ることが始めの一歩となります。

忙しい中でも何か変えないと、と考えておられるのなら、その一歩を踏み出してみてください。

スタッフは上司から寄り添ってもらえることを心の奥で待っています。




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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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