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患者さん満足度向上への取り組みの前に考えておくべきこと


ALTURAのエーイチです、今回もよろしくお願いいたします。

以前もこのような形で患者満足度(CS;Customer Satisfaction)の向上に関して、記事を書きました。


最近では、多くの医療機関や施設において、CS向上の取り組みが行われており、その結果がホームページに掲載されていたり、院内に対応結果を掲示されているのもよく見かけます。

例えば、待ち時間や駐車場の問題、接遇に関して、このように改善しました、と。それは確かに大事なことなのですが、さぁ果たしてこれで患者さんや家族の「満足度」は上がっているものなのか。そしてこれを行うスタッフには何か良好な変化というものは起こるのか・・? 正直、疑問です。そろそろ、着眼点を変える時なのかも...


スタッフの満足度、こそカギ?


実は、こんな考え方が注目されています。「SPC(サービス・プロフィット・チェーン)」です。

これは、1994年にサービス・マーケティングの先駆者であるヘスケット名誉教授・サッサー名誉教授らによって発表された、「サービス・プロフィット・チェーンの実践方法」という論文で、これによって、従業員満足度がサービス品質の向上につながり、それが顧客満足度に影響し、企業の利益に貢献することが分かったのです。


分かりやすく言うと、こんな流れです。

① 福利厚生など、法人からスタッフに対するサービスの質が高まると、従業員満足(ES; Employee Satisfaction)が向上する
   ↓
② スタッフが法人に貢献したいという気持ち(エンゲージ)が高まり、生産性が向上する
   ↓
③ スタッフが提供するケア・サービスの品質が良くなる
   ↓
④ 患者さん・ご家族からの評判があがる(CSがアップ)
   ↓
⑤ 地域の方のサービス利用度があがる(集患,稼働率)
   ↓
⑥ 法人の売上が向上し、利益が増える
   ↓
⑦ 法人はスタッフに対する福利厚生をさらに充実せる
 ↪︎そして、①に戻る

①の福利厚生など、という部分は、他にも教育体制や人間関係、職場の風土や楽しさ、なんて要素も含まれてくるでしょう。いわゆる「働きやすさ」「働きがい」--有能なスタッフを確保するためにまず大事な部分です。

③のフェイズでは、私たちの提供する技術・サービスの「価値」が高まります。

⑤のフェイズでは、満足や評判が定着することで、いわゆる「顧客ロイヤルティ」を確保することになります。つまり、「信頼」や「愛着」です。何か病気や怪我をおった時、第一想起で、「あそこに行けば安心だよね」という状態です。これによって、法人の収益性や成長率を高めることに繋がるのです。


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働きがいと業績が関係ある!?


しかも、働きがいのある会社は、株式のリターンが大きく、売上の伸び率も高い(投資累積リターンが市場平均の約3倍!)、ということが調査で分かっています。


また、直接的な業績である売上においても、働きがいのある会社は良い結果を出しています。日本2018年版「働きがいのある会社」に参加した会社のうち、ランキングに入った会社(92社)とランキングに入らなかった会社(106社)において、「売上の対前年伸び率(2016年→2017年)」を比較したところ、前者は33.9%、後者は12.0%と20%以上の差が見られました。


ここで見られる傾向は、一般企業の例であって、医療機関や高齢者施設では当てはまらない別物なのでしょうか・・?



まず着手すべきなのは?


つまり、もし自施設のCS向上を目指したいと思うのであれば、まず最初に着手すべきなのは、対スタッフに向けた施策(ES)。

職場風土が荒んでいて、スムーズな意思疎通もままならない。人の入れ替わりも激しい・・そんな環境下なのに、やれ「患者満足度を上げよう」「稼働率を改善して行こう」そんなお題目を立てても、いかにも本末転倒であることが分かります。私たち自身が満たされておらず、不満なのに、他者に心から満足を提供できそうでしょうか??


逆にいうと、私たち医療職・介護職の専門性やポテンシャルはそんなものではありません。人それぞれ色んな思いの差はあれど、でもそういった人相手の職種を志したにことは変わりありません。性善説にはなってしまいますが、私たち自身が満たされていれば、やっぱり言わずとも一段階上のサービスを提供してしまう職種だと思うのです。


月並みすぎる言葉になりますが、今こそ、「働きやすさ」+「働きがい」の担保された職場づくりを目指す。

スタッフに目を向けたら、自然とチームの雰囲気が良くなり、対応や言葉づかいが変わり、患者満足が高まり、増収になっていた。。そんな好循環スパイラルを生み出す第一歩は身近なところにあるのかもしれませんよ。


(ALTURA マーケティング部門  PT,コーチ  鯨岡栄一郎)



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