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音楽療法士が病院で活躍する未来を目指して ーその魅力と将来性

みなさん「音楽療法士」をご存知ですか?


障がい者福祉施設、高齢者施設、児童福祉施設など幅広く活躍しているものの、医療機関では他のセラピストに比較しこれから増えていく資格です。
音楽療法士は民間の資格ですが、音楽療法の効果は高く評価されています。

今回、脳卒中の当事者でもあり音楽療法士として活動している橋本ゆかりさんに、ご自身の体験と音楽療法の魅力をお話いただきました。

◾️音楽療法士を目指すまでの道のり

私が初めて病気がわかったのは子供と遊んでいる時に、柱に頭をぶつけてしまい大きなたんこぶができてしまったため、念のため近くの脳神経外科へ受診した時です。

たんこぶは何ともなかったのですが、まさか『脳動静脈奇形』が見つかり、過去に脳出血をした形跡があったのです。思い返せば20代の頃、頭痛と手足の痺れが生じ、近くの病院に受診したことがありました。

その時は、「緊張性頭痛」と診断され特に治療はせずにいました。
20代という若さでは脳の病気かな?とまでは思いませんでしたし・・・

治療は開頭手術ではなく放射線治療を選びましたが、治療中に脳出血を発症しその後は水頭症(正常圧水頭症)を合併するなど色んなことが重なって起きました。この出血が引き金となり子供と走り回るくらい元気だったのに、頑張ってもできない(言語障害や麻痺の影響)ことに気持ちも落ち込んでしまい、寝れない日々が続きました。

病気が辛いというより、頑張ろうと思っても自分の気力がついていけないことが一番辛かったですね。。

家族もとても親身になってくれました。
家族以外にも支えていただき、一番助けてくれたのは「ママ友」でした。

子供がまだ小さかったため子育てへの不安がとても大きかったのですが、ママ友からは『そんなに強くならなくて、いいんだよ』と言っていただき、この言葉に本当に救われました。時には子供を一緒に遊ばせてくれ、私の心配をしてなかなか遊ぶことができなかった子供もの笑顔を久しぶりに見ることもできました。

それから2,3度出血を繰り返しましたが、その時には以前に比べ気持ちも強くなっていたので、開頭手術も受けたりと病気と戦いながら過ごしてきました。健康にいいといわれることは食事や運動など全て実践してきましたし、自分の体質を改善することで体調も徐々に良くなっていきました。

できていたことができなくなり不安でしたが、リハビリや体質改善を通して、1つずつよくなることで達成感を感じることができました。
そうしたできることが増えていく喜びを力に、根気強くリハビリにも取り組むことができるようになりました。

また病気を恐れて生活していた人生を変えたもう一つの出会いは、脳卒中フェスティバルの仲間です。私はリハビリのおかげもあり、歩行障害や発語も目立たないくらいに回復し、音楽療法士として施設で働く時も自分が当事者であることは伝えておりませんでした。

しかし脳フェスの仲間をみたときに、私は本当に感動しました。

当事者の方々が当事者であることを公表しながら、これほど明るく、楽しく過ごされていることを知り、自分も脳出血を経験していたんだった、、と思い返してからは、当事者としてもできることを見つけ、仲間と新たな活動をすることによって自分自身の本当の『楽しみ』を見つけることができました。

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◾️音楽療法士の魅力に気づいたとき

音楽療法士を知ったのは何度目かの入院中でした。
この先どうなるのかなと不安に思い過ごしていましたが、少しずつテレビを見る気になった時にたまたまつけた番組で音楽療法士を取材していたのを見たのが始まりです。その番組では、あるリハビリ病院で音楽療法士が音楽療法を用いながら、歩行訓練や言語のリハビリをしていました。

リハビリのイメージは黙々と頑張って耐えていくものだと思っていましたし、正直孤独を感じることもたくさんありました。
ですがテレビに映っていたリハビリは音楽のリズムに合わせて足を動かしたり、発声練習をしており、音楽療法士さんもリハビリをしている方もとても素敵でした。

もともとピアノの先生をしていた経験もあり、音楽が好きだったので音楽療法士という仕事を知り驚きましたが、それを見てから私も早く病気を治して、音楽療法士として働いてみたいと思いました。

それからは「音楽療法士になる」という目標を見つけ、今まで以上にリハビリに励み、目標にしていた音楽療法士になることができました。

音楽療法を学ぶ中で、音楽療法を患者さんに行う上で必要な歌を自分自身で練習していました。その訓練が結果的に言語のリハビリになり滑舌や発語もよくなりましたし、嚥下障害の予防にもなるので、言葉を発するということはとても効果的なことなのだと体感し、より音楽療法の魅力を感じましたね。

現在は障害者施設やデイサービスで音楽療法士として働いておりますが、言葉がうまく出せなかった方が徐々に声が出せるようになりました。

行うこととしては、お顔のマッサージ方法や口の動かし方をお伝えし、少し手伝ったりしながら実践していただきます。そうした運動を音楽をかけながらリズムに合わせて動かしたり、声を出しながら行うことで身体も心もリラックスした状態でできるのでとても効果がでやすくなります。歌を歌うことで身体も温まり、呼吸法も自然と身についていくのでとてもいい状態を作ることができます。

今後は私がテレビで見た音楽療法士さんのように、病院に入院しておられる患者さんの力になりたいという想いをずっと抱いているため、病院で働ける機会ができたらいいなと思っています。

なかなか国家資格ではないため就職が難しいのが現状ですが、もっと音楽療法について認知していただき、病院での必要性を理解していただけたら嬉しいです。



音楽療法を取り入れる言語聴覚士や作業療法士も増えてきており、2006年度から再び国家資格化を目指す働きが行われています。
今後、医療機関や介護施設での活躍が見込める音楽療法士と働くことは遠くない未来です。

セラピストのみなさん、そして医療や介護に携わる方々は今から音楽療法について、そして音楽療法士についての理解を深めておく必要があるでしょう。

参照:
https://www.jmta.jp/music_therapist/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/21/4/21_4_453/_pdf

インタビューさせていただきました理学療法士の安田です。
意欲的に取り組まれている医療職の方、当事者の方、介護に携わる方と繋がれたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします。



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