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生み出す欲求


10代後半から20代前半にかけて、絵を描いたり色んなオブジェを創るにあたって、僕はイコン画に強い関心がありました。

僕は毎年初詣に出向き、苦しい時には神頼みをし、毎月恵比寿神社に商売繁盛の祈願をし、クリスマスを家族と祝うチャンポン神者です。笑

特別な宗教を信仰しているわけではありません。
もちろんカソリックでもキリスト教徒でもないのです。
でも、イコン、いわゆる宗教画の独特の雰囲気にとても惹かれていたんですね。
荘厳で静謐で、何より神秘的な神聖さにアートとして強く興味を抱いていました。
イコンに関する書物もいくつか集め、資料としてのビジュアルを収集していました。
「若かった」と言い訳するしかないのかも知れませんが、純粋にアートとしてイコン画に強く惹かれていたのです。


今でも僕のデザイン・モチーフ選択の対象としているかというと実はそうでもないんです。(笑)
もう十分に巡った感があったり、大人になった分、本当の宗教的な意味へのリスペクトとか配慮が生まれたりしてね。
なので今は仕事でもなんでもイコン画をモチーフにすることはほとんどありません。
遠い遠い昔の思い出です。
でも今でも古い銅版画や木版画の聖人画を見ると、自分のインスピレーションやモチーフに活かせるのではないかと想いよぎりますし、美しいイコン画を見る機会があると、心の中のどこかを少し整えてくれるような心地を味わうことがあるんですね。


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仕事柄、色んなビジュアルに接する機会があります。
それはもちろん宗教画に限ったことではありません。
それらの中には僕の創造力の大切な引き出しになってくれるものもあったりします。
雑誌を見ていても、TVを見ていても、僕の琴線はビジュアルのアイデアに帰結していることが多いのです。
それはお仕事としてのビジュアル・アイデアの引き出しとはまた違った種類のものなんですね。
デザイナーとしてではなく、純粋に絵描きとかビジュアル・アーティストの領域というか、そういった何かを生み出す欲求へ直結するものです。


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以前、『4cups of stories 〜コーヒーカップ4杯分の小さな物語』(書肆侃侃房刊)という本の装丁をさせてもらったことがあります。


その表紙のイラストもデザインも手掛けさせていただいたのですが、なかなか上手く思い描く世界観を表現できたと思うんですね。
イラストを描いて、そのイラストを使ってデザインして、その本の持つ世界観をビジュアルとして生み出す仕事は、なかなかの醍醐味だったのです。


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その頃やそれ以前の僕は、デザイン以外のビジュアルのお仕事にはとてつもなく消極的だったんです。
本職じゃない引け目みたいな何かが邪魔をしてね。
ほら。僕って謙虚な人間だしね(笑)。

でもね。
多くの引き出しも出来て来たという実感もあったり、自分の中で積み重ねて来たいろんな創造の欠片が瓶からこぼれそうなくらいに集まってきたのを感じてた頃なのでね。
そういうクリエイトもやってみたいな、なんて考えてた頃でしたから上手くパッションやアイデアが噛み合ったんでしょうね。
今思ってもとても心に残る仕事になりましたから。


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本来は、カメラマンやイラストレーターと組んでする仕事が大好きな僕なのですが、また、自分のビジュアル・ディレクションの表現のために、自分でデザイン以外の何かもクリエイトしてやってみたいな、という欲求はありますね。
あれから随分と時間は経ちましたし、僕のインプット量は経年と共に膨大ですから、引き出しや蓄積量は半端ないわけですから。
まずは本の表紙のイメージとかから始められたらいいんだけど。(笑)


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生み出す欲求に任せてみたい。
そんな欲求の吐露。w w
ゆっくり思うままに。
生み出せるものは生み出したいと思うんですよね。

いつかお見せ出来るように、頑張りますねー。w



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