シュタイナー教育×PBL×第二言語学習の経験①
少し前にハナキンでシュタイナー教育についてお話させていただきました。
たくさんの方々に聞いていただきました。
色々と質問もいただき、お話する中で
改めて自分の中でも「この体験を思い出として終わらせるのはもったいない」という気持ちが湧いてきました。
今後、自分の日本語教育の中にもっともっと活かしていこうと思っています。
お話したことを忘れそうなので、一度noteにまとめておくことにしました。
私は高校時代をアメリカ(ハワイ)にある小さな私立の学校で過ごしました。
入学した学校はシュタイナー教育を実践している「Waldorf School」というところでした。
世界に1000校近くのシュタイナー教育の教育機関があります。
【シュタイナー教育とは何か】
シュタイナー教育はドイツのルドルフ・シュタイナーによって提唱された、人智学を基礎とした教育です。
シュタイナー教育の理念には様々な要素が織り込まれていて、一言で説明することは難しいです。
ごく簡単にまとめると
「試験に必要な一時的な知識の習得ではなく、内面的な豊かさを持った人間の個性能力を発達させることを目指すもの」であると言えます。
そして何より「自由な生き方ができる人間を育てること」を目指す教育です。
知識詰込み型の教育ではなく、世界全てが教材であるかのように、世の中に存在するものの中で、自分にとって必要なものを自分で選び、
自分のペースで吸収し、発散していく教育だと思っています。
【シュタイナー教育の特徴】
①少人数制
上記のような理念を実践するには、大きな教室で教科書を使った授業は難しいのだと思います。
私のいた高校は1学年に1クラスのみ、さらに1クラスが12名という小さな学校でした。
なにより個人の個性を尊重するので、先生一人一人がまるで親のように学生を見守り、学校全体が家族のような雰囲気でした。
②独自のカリキュラム
1つの科目を一定期間で徹底的に掘り下げる、というカリキュラムを持っています。
約1か月間、毎日最初の90分間は同じ科目の勉強をします。
具体的には
数学:幾何学、関数など
科学:動物学、植物学、海洋学、化学、物理、地質学
文学:アメリカ、ドイツ、ロシア、アジア / 現代・古典
歴史:世界史、アメリカ史、アジア史、アフリカ史、
ヨーロッパ史、ハワイ史、世界大戦史、
音楽史、美術史、建築史、工業史
といった科目がありました。
③授業スタイル
上記の授業の進め方も、教科書を読んでテストをして、という授業ではありません。
先生は基礎的な知識を「紹介」する程度。
あとは授業のスケジュールや課題を提示をして、司会者やファシリテーター的な役割に徹します。
生徒はというと
①先生から聞いたことをクラスで話し合って内容を確認し、もっと知りたいことを見つける
②家で調べたりまとめたりする
③翌日、発表や意見交換をする
④ ①〜③をノートにまとめて「自分の教科書」を作る
というのが基本的なルーティーンです。
そして中間、最終の授業でのプロジェクト発表に向けた準備を少しずつ進めていきます。
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ここまでで既に日本の中高と違うことばかりで、当時の私は驚いていました。
(だって教室に入ったら授業中なのに生徒が床に寝そべってギター弾いてるんだもん)
いや、驚くというより「ワクワクした」だったと思います。
自分の英語はほんとに初級のレベルだったのですが、それを棚に上げてワクワクしていました。
そして棚に上げていいのだ、というのがこのシュタイナー教育の特徴の一つであったことを後に知ることになります。
英語初級の私がこの学校に入ってなにを得たのか?
これは次回の記事でお話しようと思います。
その前に
④プロジェクト型の授業
⑤教科書がない授業
についても触れたいので、それもまた次の記事でご紹介します。